9/2,3に行なわれた、「ad:tech Tokyo 2009」のレポートをはせれいさんに寄稿していただきましたので、ここに掲載します。

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モデレーター:
●勝野 正博 (株式会社 博報堂DYメディアパートナーズ i-メディアビジネス局長)

パネリスト:
●本間 充 (花王株式会社 WEB作成部 ディレクター(WEB技術長))
●増子 雄一 (株式会社三井住友銀行 マスリテール事業部ネットマーケティンググループ長)
●及川 直彦 (電通ネットイヤーアビーム 代表取締役社長)
●Sheetal Mike (PressArmy Inc Founder & Director)

1.本間氏による講演

業務内容は、花王グループのウェブインフラの設計・運用

データシェアに関しては
(1)協力関係と、目的の共有
(2)さまざまなデータの収集
(3)データ分析能力

ウェブサーバーに残っているログが取りたいように取れる。分散しているデータを共有関係にもっていく。目的の共有こそが必要。

日本に関してデータはオープンソースのデータもあるし問題点がある。
数字がでたらすべて! と思っていることがある。
無駄なデータを出していることも多い。

2.増子氏による講演

業務内容は、
○ネットを中心としたリモートマーケティング戦略企画
○マスメディア運営
○リモートマーケティング・コミュニケーション戦略企画
○データのシェア・集中

(1)ITの進展による生活者の行動変化とあわせたコミュニケーション戦略自体の見直しとチューニングが必要
(2)事業のゴールに向けた一連のマーケティングを行う場合、様々な実務を包含したうえでの「戦略」と「マーケティング」設計に加え、「体制」と「推進力」が必要
(3)データのシェアと集中。各メディア、各チャネル、ターゲティング、顧客、各種環境、事業戦略、体制、リソースをふまえて行う必要がある

3.及川氏による講演

業務内容は、戦略コンサルティングサービス(新規事業開発、CRM戦略)

○市場環境の変化が加速するなかで、諸活動の前提となるマーケティング目標事態を頻繁に見直す必要あり
○これまでの「縦割組織の中での部分最適化」では対応できなくなり、「すり合わせ型組織びおける相互学習」が成功の鍵となる
○共有されたKPIは「相互学習」を実行するための「共通言語」として機能する

4.Sheetal Mikeからの講演

業務内容は、Press Armyのlコンセプトと運営/USN運営

○Press Armyはメディアキャンペーンの成功を計るために誕生した
○収集した情報をより理解し、クライアントの消費者基盤へのアプローチ方法に活用するため開発に至る
○エージェンシーとクライアントが密接に働く際、アプローチ方法がエージェントの単なる「推測」からクライアントの夢をかなえる「効果的な手段」となりうるかは、収集した情報をより理解し活用できるかにかかっている

5.データシェアに関するディスカッション

◆勝野氏
データシェアをするかしないかでいうと、したほうがいい。
成功させるための課題は何か、ということだ。

データを集められるんだけど、どう扱っていくべきなのか。
どのようなデータがまず必要なのか?

◆本間氏
なかなか議論されていない。
そもそも広告を打つことは、広告コミュニケーションが取れたかどうかがゴールではなく、商品が売れるかどうかがゴールだ。
マスメディアがそれに対して振返りがなかった。

今までは露出量としか考えてなかった。
しかし、ウェブではコンペティターはできない。
ブログ空間を全部捉えることはできない。

今までとは違う計り方をしなきゃいけない。そこで、なんだか思ったのが、「なんだよ、マスもやってなかったじゃん!」
そもそも、広告やコミュニケーション全体でしなきゃいけない。代理店も広告主も両方でやろうとすればいい。ウェブだけやろうとするとアンハッピーになる。

◆増子氏
銀行はいつでもお客は来る。そこが他の事業とは異なるところ。

マスメディアというものは、今まで銀行は使ってなかった。5年前くらいから、やっとマスメディアを考え始めた。そもそもマスメディアとかインナーメディアとか区分けは何かわからなくなっている気がする。

マスとインナーと分けていること自体から、「モノを売る」という概念からずれている。

「モノを売る」という観点からみると、データをどう見ていくかが変わる。
データのシェアというのは、今後、意味がある。

そもそも「シェア」とか言っている場合ではない。事業の戦略の共有などが必要。
代理店、クリエイティブの役割を変えていく必要がある。

◆及川氏
マス広告に接触してからどういう行動をとっているかが、ブラックボックスだった。
ブログやSNSで表出されるようになった。

広告に接触した人が、どれくらい購買したか。

顧客を獲得、維持が最初にあって、それのために何をするか。
以前は、選択肢がなかった。しかし、現代では様々なメディアを通じて顧客が情報を取得する。私たちもそれを最適化しなくてはいけない。

柔軟に発想を変えていく必要があるし、組織で共通言語を設けていく。

6.データシェアとKPIについて

◆本間氏
データシェアにはふたつある。

  1. 何が起こっているかの基礎データ。ラーニングのためにデータ。基礎体力のためのデータ。
  2. コミュニケーションビルディング。継続して一緒にやってほしいためのデータシェア。

データ開示しているので、同じ船に乗ってほしい。同じ方向に一緒に継続して乗ってほしい。自分たちの広告が成功したかどうかを知るために、データを聞く代理店マンがいる。
改善を続けていくためのデータシェア。
きちんとやれる仲間を一緒にやっていきたい。誰が何をやるかはどうでもよくて、何をやるのかを明確にしてほしい。

◆勝野氏
KPIの前に戦略がる。

◆本間氏
ベクトル方向を一緒にするけど、KPIに縛られてはいけない。

◆及川氏
現場はかわいそうだ。マーケティング本部長が、これからマーケティングをこういったマーケティングをするためにこうするとディレクションしなきゃいけない立場だ。彼らが一番変わるべき。予算を正当化するために?するとかいうのはよくない! そんな上司への説得とか考えていて、そんなところでつまづいていたらスピードに追いつけないだろう。定性も大事で、定量だけではない。定性データの使い方もデータシェアリングに関連している。

◆増子氏
何をデータシェアすべきかでいうと、全部だ! KPI決めないとドライバかからないんだよね。そういったところを全部含めたうえで、信頼関係というか、コミュニケーションをまずはとっていかなければならない。代理店とコミュニケーションをきちっと取った上で、全部やってくださいというしかない。

◆本間氏
ウェブが登場してきて、時間の捉え方が変わった。今までは3ヶ月スパンだったが、連続的だ。今までは振返りやっていたとしても、3ヶ月、半年スパンだ。増子さんがおっしゃっていたように60分単位でもいい。その改善スパンの時間はビジネスによって違う。

◆及川氏
早ければいいと思うけど、まわせるかどうかが重要だ。マッキンゼーは、60分ごとにプロセスをかえるマーケティングというレポートをやった。広告キャンペーンではなくて、それぞれの事業体、マーケティング活動をまわせる最適なスパンで考えなきゃいけない。

◆増子氏
スパンの問題でいくと、退職金が豊富だったころは、30年40年だ。それは60分では結果はでない。ただ、現代になると長いスパンだともたない。

◆及川氏
60分は、確かEコマースだったと思う。短期的にお客さんを取ることが、本当にいいお客がついてるか?継続的に取れているか? ということを考えなくてはいけない。
最近KPIばかりになっていて、長期的に顧客のKPIというのを考えられる人が少なくなってきているのを心配している。

◆勝野氏
生活者の見たくないものも見ている。そういうインサイトまで見ないと、猫に小判になってしまう。

7. 質疑応答

質問:理想像があり、現実がある。理想像にいくための順番のヒントが知りたい。

◆本間氏
そもそも、ad:techに、マーケティング本部長クラスがほぼ来ていないことが大問題だ!
データを見なきゃいけないというのは、どこもわかっている。
事業そのものを握っている人たちと話していかなきゃいけない。

広告主側も、エージェント側も問題がある。
エージェント側は「ビジネスから考えてほしい」
広告主は「メディアから考えるのをやめてほしい」

◆増子氏
実績をあげていくのが一番早い。
内部的にどういう数字を用いて、どうやって変えていくか。

◆及川氏
エージェント側が悪いと思う。マーケティングモデルの変化に対応していないのが悪い。
お客側が変わろうとしているならば、対話すべきなのに、真剣に向き合わないでゴルフしかしていないなら、やめた方がいいと思う。

河野コメント

「マーケティング本部長クラスがほぼ来ていないことが問題」という発言があるけど、10万円の有料セミナーにほいほい行けるほど、いまの企業の状態は甘くない。それでも来いというのは(講演料をもらってる立場の人間が)言うべきじゃない。