ad:tech Tokyo レポート vol.2 「UGCによるブランドオーナーシップの変化」

9/2,3に行なわれた、「ad:tech Tokyo 2009」のレポートをはせれいさんに寄稿していただきましたので、ここに掲載します。

adtech1

モデレーター
●池田 紀行 (株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長)

パネリスト
●Ganeshanandan Siva (Autonomy Marketing Director, APAC)
●工藤 然 (日産自動車株式会社 販売促進部インターネットチーム主担)
●原田 明典 (株式会社ミクシィ 取締役 mixi事業本部長)
●森岡 慎司 (株式会社電通 関西支社 インタラクティブ・コミュニケーション局 デジタル・ソリューションセンター インタラクティブマーケティング部長)

1.工藤然氏より講演

人の興味は、より刹那的、よりニッチになっている。そして、一企業のDBマーケティングで実施できるレベルを超えていることを実感する。

(1)Rearch × Frequency × QoEとはいうが、Rearchは水物である。
ルールは自分達が作るのではない。すでにそこにある世界・ルール・役柄を考慮することが大事。

(2)「見て、これ面白いよ」だけではブランドは伝わらない。
欲張りすぎは禁物だが、ユーザーに何を持ち帰ってもらうかの設計が重要。

例えば、ブログパーツは、UGCに入り込むお手軽な手法のひとつだとわかったが、面白くor美しくなければブログパーツは貼られない。
さらに言うと、貼られたとしてもそこにメッセージが存在しなければ伝わらない。

(3)あなたの行動は、いつも見られている。
光の速さで世の中に広まっている。誠実に、恥ずかしくない行動をとることが企業には大事。
事例として実際にあったことだが、日産を大好きなお子さんが電話をかけてきて、それを全部動画にアップされていた。いつもそうされていると意識すべきだ。

2.Mr.Ganeshanandan Sivaより講演

最初は、モニタリングからはじまる。

課題として認識しているのは、ソーシャルメディアの爆発的成長していて、すべての入力項目を分析するには、リソースが必要。
マニュアルでのカテゴリー化は難しくなっている。

また、法的リスク、企業ブランドへのリスク、売上リスクという3つのリスクが存在している。
適切にフィルタリングしていないコンテンツによる企業ブランドへの影響があるということを理解する必要がある。

3.森岡慎司氏より講演

(1)UGCに対するブランドのスタンス

UGCはブランドにとって、脅威か? それとも見方か? という議論があるが、広告会社にとって、どちらにもなりうる。

  1. UGCの同行を把握する。UGCリサーチ
  2. UGCを発生・拡大させる(△ブロガープロモーション/◎情報環境の設計)

(2)新しいブランドマネジメントのフレーム

  • 企業発の情報
  • 中立的なメディア発の情報
  • 消費者発の情報

これからは上記3つを考慮する必要がある。実際に、北京オリンピックにおけるチベット・聖火リレー問題では、マスメディアの報道とUGCでの情報には際立った差があったし、スポンサーに対する不買運動も起こっていた。

(3)マーケティングのパラダイムシフト

adtech1

マスマーケティング:要素還元アプローチ
市場→サンプル調査→マスの動向を探る→アプローチ→市場

リアルタイムDBマーケティング:ホリスティックアプローチ
市場→CTスキャン→DB分析→プランニング→電通バズリサーチ→市場

4.原田明典氏より講演

(1)これまでのネットマーケティング

会員化型プロモーションと、ターゲティングによる効率的なリーチが中心だった。
しかしながら、これらは広告感度が高い人か、ニーズが表出している人にしか届かなかった。

(2)知人・友人を通じての伝播が重要

ブログ・掲示板への知らない人の書き込みは、クチコミか?
違う! 実際の知人からの伝播こそ「クチコミ」だ!

現状、ミクシィの平均マイミク数は、26名。知人・友人を通じて情報は伝播していく。
そんななかでは、ゆるい繋がりで、多くの消費者と持続的な関係を築くことが重要(=ファン化)。

例えば、加藤ミリヤさんの場合、コミュニティは9万人(それでもファンクラブより多い)だけど、公認アカウントでは45万人。

知人・友人を通じての伝播が重要であって、囲いこむのではなく、ゆるく繋がる。

5.フリーディスカッション

必ずしも、自社メディアに囲い込むのではなく、こちらから出向いていって語りかけ、「ありがとう」を言っていくのがキーワードじゃないのだろうか(池田紀行氏)

1.KPIと、上司からの効果に関してお咎めについての対応はどうしてるか?

最初からいきなり大きなROIを求められるようなことをしない。
トライアル的な意味合い。
そこで取れた数字をもとに、次の大きな施策へ投下する。

クオリティエクスペリエンスはどう計るのかというと、プロジェクトによる。
マイミクの人数や、ブログクチコミのポジティブさだったりする。

それは、その都度の目的に応じてであるし、あとは、上司が理解があるかどうかが肝だ。
(工藤氏より回答)

2.エンゲージメントを計るKPIが出てこない場合は?

ソーシャルマーケティング導入の際のボトルネックがKPI。
効果性に対して、効率性の指標になっていることに無理がある。

商品、顧客が違うのだから、共通のKPIは存在しない。
そこから、スタートははじまる。
共通のKPIを追うことをやめることからはじめる。

3.ソーシャルメディアが空気のようになっていく

友人・知人を介した伝播は、情報のバリューが重要だ。
加藤ミリヤが乗り出してきた公認アカウントは、通常のコミュニティよりもずっと集まった。そうやって企業が乗り出すことで価値は伝わるし、何を伝えるかも企業と顧客のコミュニケーション力になってくると思う。

話している相手が誰かわからないという時代は終わった。
誰がどういう情報を話しているかをきちんと把握してコミュニケーションしていく時代になる。

「この商品、何も特徴がないからクチコミで売りたい」はダメ。
企業も丸裸にされていく。語るべきファクトをもっている企業が強くなる時代。
密接な関係性がつくれるようになる。そういった意味で、企業は二分化していくだろう。
(原田氏より回答)

ソーシャルメディアは脅威ではなく、機会だ!
(池田氏によるまとめ)

はせれい

マーケター+ジャズシンガー

シェアする

コメントを残す