セス・ゴーディン ブログ14:批評家ではなく、スニーザーの意見に耳を傾けろ

Seth Godin’s blog(セス・ゴーディン ブログ)2009年3月29日: Ignore your critics

If you find 100 comments on a blog post or 100 reviews of a new book or 100 tweets about you…and two of them are negative, while 98 are positive…
ブログの記事についた100個のコメントや、新しい書籍の100個のレビューや、100のtweets(Twitter上のつぶやき)があった時に、2つがネガティブで、98がポジティブなリアクションだったとしよう。

which ones are you going to read first?
君はどっちを先に見る?

If you’re a human being and you’re telling the truth, the answer is pretty obvious: you want to know which misguided losers had nasty things to say and you want to know what they said. In fact, if we’re being totally truthful, it’s likely you’re going to take what the critics had to say to heart.
君が”ひとりの人格をもった人”で、本音で答えてくれるとしたら、答えは明らかだ。不快なことを言おうとしてる見当違いの負け犬がどこのどいつかを知りたいだろう。そいつらがなんて言ったかも知りたいだろう。実のところ、僕らが何から何まで誠実だとしたら、評論家たちが気持ちをこめて言ってきたことを受け入れるだろう。

That’s a shame. The critics are never going to be happy with you, that’s why they’re critics. You might bore them by doing what they say… but that won’t turn them into fans, it will merely encourage them to go criticize someone else.
でもね、残念なことに、批評家たちは君とハッピーになろうとはしないんだ。だって彼らは批評家だからだ。批評家連中の発言を気にすることで、君は彼らを支えていることになるんだよ。けれども、そうしたからといって、彼らはファンになってはくれないだろう。単に他の誰かを批判するように仕向けることにしか過ぎないだろうね。

It doesn’t matter what Groucho or Elvis or Britney or any other one-name performer does or did… the critics won’t be placated. Changing your act to make them happy is a fool’s game.
グルーチョ、エルビス、ブリトニーとかのような芸能人が、今もしているようなことや、今までしてきたことはどうでもいいんだよ、そんなことで批評家を押さえつけられないだろう。批評家たちをハッピーにするように君がふるまいを変えることは、くだらないゲームのようなものだ。

Here’s a surprising thought, though. You should ignore your fans as well.
けれども、ちょっと意外なことに、君を指示してくれるファンも批評家と同じように無視すべきなんだよ。

Your fans don’t want you to change, your fans want you to maintain the essence of what you bring them but add a laundry list of features. You fans want lower prices and more contributions, bigger portions and more frequent deliveries.
君を指示してくれるファンは、君に変わってほしくないと思っているし、ファンたちが受け取めていることを続けてほしいと思っているんだ。その受け止めていることは、どんどん追加されていって長いリストになっていくんだけどね。君のファンは、もっと安く、もっと多く、もっと広範囲に渡って、もっと頻繁に求めているんだ。

So, who should you listen to?
それならば、君は誰の意見に耳を傾けるべきかって?

Your sneezers.
君のスニーザー*だよ。

You should listen to the people who tell the most people about you. Listen to the people who thrive on sharing your good works with others. If you delight these people, you grow.
君についてもっとも多くの人に広めてくれる人たちの意見を聞くべきなんだよ。君の成功した仕事を他の人とシェアして活性化してくれる人たちの意見を聞かなきゃ。このタイプの人たちを喜ばせられたなら、君はきっと成長するよ。

私には、ちょっと新しい視点。人脈論でいくとコネクター*とつながるといいと言うけど、結局ここでもそうなのだろうか。逆に、批評ばかりする人たちはわりと矛先が変わるだけで体質は変わらないだろうな。ファンを大事にするなということではないけど、確かに単なるファンはアイディアを広めてくれる確率は少ない。そうなると、スニーザーを一番相手にしたほうがいいのは、そうなのかもしれない。でも、スニーザーと対話できるようになるには、スニーザーにとって魅力的な人物あるいは商品にならなきゃ。それに、スニーザーの気持ちを理解するためにも自らスニーザーになる経験というのは大事なのかもしれない。

あと、読書会で河野さんが言った「批判がきたらキャズムを超えたということだ」が私のなかでマッチングした。キャズムを超えられる人というのは、それほど多くない。そもそもキャズムを超える必要性がある人も少ないはずだ。大多数の人を相手にするなら、それは商品やサービスであれ、個人であれ、ノイズやファンとうまく付き合っていく必要があるだろう。それを考えると、芸能人は改めてすごいなと思った。マネージャーや事務所が基本的には管理してるんだろうけど、彼らから何か学べるものはあるのかもしれない。

*スニーザーとは、簡単に述べると、アイディアを広めてくれる人です。マルコム・グラッドウェルの『ティッピング・ポイント』によると、コネクター、メイヴン、セールスマンです。

(参考文献) セス・ゴーディン「バイラル・マーケティング」、マルコム・グラッドウェル「ティッピング・ポイント」

河野コメント

「批判がきたらキャズムを超えたということだ」って話は作家の森博嗣がブログに書いてたことの受け売りです。ただ実体験として理解できるし、とても賛同できる。
「スニーザー」って言葉をセス・ゴーディンは好んで使っていて、「Purple Cow」でも頻繁に出てたと思う。日本だと同じような意味で「インフルエンサー」という言葉が使われてますね。個人的にはどちらの言葉もうさんくさくて苦手だけど。

さらに言えば、ぼくはこのエントリーにはほとんど共感していない。たとえば小さな話ではあるけれど、ソーシャルメディアで人気者、そう「アルファブロガー」と呼ばれるような人になりたければ、彼らと友だちになればいい。あるいはイベントに出かけていって、仲良しになった人たちからリンクをはってもらえば、それだけでアクセスは増えるし、なんちゃってインフルエンサーが誕生する。
だけどそういう「即席スニーザー」は本物ではない。セス・ゴーディンは「Authenticity(本物)」って言葉も多用するくせに、こんなふうに誰でも有名人になれるかのように煽ったエントリーを書くのはどうかと思う。
(とはいえ、100もフィードバックが得られる時点で「誰でも」じゃないんだけどね)

はせれい

マーケター+ジャズシンガー

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