競争戦略の考え方

マーケティングについて考える場合、いま自社のビジネスがどのような状況にあるのかをまずは冷静に分析する必要があります。

たとえば市場のガリバーとして君臨する大手企業と新規参入したばかりのベンチャー企業では当然のことながら採るべき戦略は異なりますし、常にベストの戦略も変化します。
フィリップ・コトラーは市場における競争上の立場を4つに分類して、それぞれが採るべき戦略を整理しています。

リーダー

まず最初は「リーダー」です。リーダー企業とは、ある市場におけるマーケットシェアが最大(つまりトップ)の企業のことです。
この企業はふたつのことを考えなければなりません。それはライバル企業の動向を注意して隙を見せないことと、もうひとつは市場全体の拡大です。

市場が大きくなればそれだけトップシェアである自分たちの売上も大きくなりますし、その恩恵をいちばん多く受けることができます。具体的には商品やサービスのブランドを宣伝することよりも、その商品カテゴリーの特性や利便性をアピールすることが重要です。
同時にライバル企業が繰り出す新商品や新サービスに対して、即座に類似商品を出すなどして防衛戦をすることも大事です。

チャレンジャー

次に「チャレンジャー」です。これはマーケットシェアで2位または3位の企業のことです。チャレンジャー企業は「リーダー」を目指して、どんどんシェアの拡大を狙っていきます。そのために積極果敢に新商品を開発したり、消費者受けするキャンペーン(たとえば入会無料など)を展開します。

これはかつてのケータイ電話の状況を思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。リーダーであるドコモに対してauは音楽配信やダブル定額といったサービスを次々に投入してきました。
もっともこの場合はリーダーのドコモが半年程度で同じサービスをカウンターとして提供してきたため、相手のシェアを奪うところまではいきませんでしたが。
あるいはコカ・コーラというリーダーに対するペプシコーラはチャレンジャーですね。

フォロワー

そして「フォロワー」です。フォロワー企業とは、その市場においてわずかなマーケットシェアしか有していないため、リーダー企業に挑戦するのではなくむしろ追随しようとする企業のことです。

大手企業が新事業として参入する場合はこの状況になることが多いです。その場合、商品開発やキャンペーンに大きな投資をするのではなく、リーダー企業の商品を模倣して、開発コストを節約し、そのぶん安価に提供することで価格優位性を確保します。または利益率を高めて販売量が少なくても事業が存続できることを目指します。
家電における船井電機やかつてのアイワなどがこれにあたりますね。

ニッチャー

最後は「ニッチャー」です。「ニッチ」という言葉は一般的になってきましたが、まさにそのことで該当市場のマーケットシェアは低いものの、特定のサブ市場(ニッチ市場)ではリーダーとして君臨している企業のことをニッチャー企業と呼びます。

ニッチャー企業は言い換えれば、リーダーやチャレンジャーとの競争を避けるために「市場の再定義」をした企業のことです。後発のベンチャーが新規参入する場合はこのケースを採ることが多いです。

たとえばハンバーガーチェーンではマクドナルドがリーダーで、チャレンジャーとしてモスバーガーやロッテリアがあります。そしてフレッシュネスバーガーがニッチャーですね。

ニッチャー企業は家電の世界では(ダイソンのように)今後もどんどん出てくると思います。こうした企業が発売する商品は対象者を絞ったぶん高付加価値になるため高い価格でも売れます。その結果、利益率が高くなる強みがあります。

ニッチャーの次の展開

ぼくらの大半はリーダー企業やチャレンジャー企業ではなく、フォロワー企業やニッチャー企業で働いていると思います。そしてフォロワー企業がマーケティングをほとんど必要としていない以上、いちばん現実的でかつマーケターとして楽しいのはニッチャー企業だとも言えます。

ニッチャー企業で成功した場合、さらなる成長を目指して商品ラインナップを増やすことがありますが、これはその企業が支持されていた焦点がぼやけてしまうため注意が必要です。チャレンジャー企業としてリーダー企業に戦いを挑むのであればそれでもいいのですが、個人的には別のニッチを狙って開拓したほうがいいと思いますね。

各業界のシェアはこういう本で見ることができます。