マーケティングとは何か

マーケティングについて聞かれた時や誰かに教えなくちゃいけないシチュエーションになった際に、いつもぼくは「マーケティングって何だと思いますか?」と逆に質問するようにしています。そして一通り話をした後は「あなた自身の言葉でマーケティングを再定義し続けてください」と言うようにしています。

これはぼくにとってとても大事なメッセージです。政治や市場や会社や製品の状況によってマーケティングが担当する戦略や戦術は変化しますが、ぼくが言いたいのはそういうのとは少し離れて、普遍性を探し続けましょうという意味です。

マーケティングの定義

ちなみにぼく自身の定義もずいぶん変わっています。
マーケティングについて考え始めた当初は「マーケティングとは、ほっといても売れる仕組みを作ること」でした。これはピーター・ドラッカーの「マーケティングの目標は、販売を不要にすることである」という発言を意識してますね。ちなみに、マーケティングの権威であるフィリップ・コトラーは「マーケティングとは、消費者の要求をみたすこと」と定義しています。

その後、自分がCOOとして経営をあずかるようになった頃は「マーケティングとは、利益を極大化すること」と答えていました。「最大化」じゃなくて「極大化」なのは「めっちゃでかい」ということをよりアピールするためです。まあこういう言葉選びそのものがマーケティングといえなくもないです。

じゃあ今はなんと答えるかというと「マーケティングとは、需要をコントロールすること」です。実際、マーケティングは需要を高めるだけじゃなくて、抑えるためにも使われるのです。具体例としては上高地の自家用車規制があって、景観や大気汚染を守るためにあえて規制して観光客の数をコントロールしています。

同じようなケースではディズニーランドも(成功してないけど)やっていると思います。入場規制で入れないお客さんをひとりでも減らすために彼らも、お客さんを分散させるようにいろいろ考えているようです。カウントダウンパーティを事前抽選にしたりね。
上高地やディズニーランドのように、キャパが決まってる場合は、それ以上のお客さんが来ると帰ってもらわないといけなくなるので不満もつのるし、お詫びのコストもかかるわけですから、定員ギリギリを365日続けることがマーケティングの成功になるわけです。

このようにマーケティングというものは時代によってだけではなく、その企業のビジネスによっても変わってきます。
創業当初のベンチャーなら(VCや市場へのアピール含め)利益よりも売上が重視されるでしょうしね。

マーケティングの普遍性を探すことと、現在の自分の環境でのマーケティングの成功を定義付けること、さらにはそれらを矛盾のない形で結びつけることは難しいですが、とても大事なことなので、ぜひ取り組んでください。

あなたにとって、マーケティングとは何ですか?

あなたの定義を教えてください

マーケティングis.jpではいろんな人の定義を集めています。ぜひあなたの定義を教えてください。

河野

当メディア編集長。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知らせメール」などを考案した。また、はてな社との協業による商品の人力検索サービス等をプロデュース。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員を務める。2007年から2010年までブックオフオンライン株式会社取締役を務め、サービスの立ち上げ全般のサポートに加え、「オトナ買い」や「デマチメール」などの独自機能を考案した。その後、フリーランスに。2014年から株式会社クラシコムに勤務。現在に至る。「アクティブサポート」や「最愛戦略」の提唱者。個人として「攻城団」と「まんがseek」を企画運営。個人のサイトはsmashmedia

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