アクセス解析は、サイトの目的とゴールの再確認から

今回はご自身でも「makitani.com」というブログを書いてらっしゃるWebアナリスト、市嶋さんに「初心者にもわかりやすいアクセス解析について」の原稿をお願いしました。

根本のところから、書いていただいているので、参考になると思います。
それではどうぞ。

アクセス解析は、サイトの目的とゴールの再確認から

基本の話をします。アクセス解析をする際には、そのサイトの目的とゴールを再確認しておくとよいです。いやむしろ、ビジネスではそれがないことには始まらないはずなのですが。

アクセス解析は、導入すれば何もしなくても様々な結果を表示してくれるので、いろんなことがわかった気になります。しかし、出された結果をただ眺めるのと、目的意識を持って前のめりで数字を見るのとでは、大きな差があります。

  • どういうことをした結果、そうなったのか
  • その結果をふまえて、これから何をすればいいのか

何の意識も持たずにアクセス解析のレポートやダッシュボードを見ても、「どういうことをした結果そうなったのか」という視点で結果を見ることができません。それらはただのグラフや数字で終わってしまいます。「今月はページビューが多かった」や「このキーワードでよく検索されている」などに終始し、因果関係や相関にあまり意識が向きません。

そして、「その結果をふまえてこれから何をすればいいのか」が、行き当たりばったりで大雑把なものになりがちです。あるいは、森を見ずに木の葉の色ばかりが気になってしまうかもしれません。

アクセス解析のレポートを見て、「何を見たらいいの?」「で、どうしたらいいの?」となってしまうのは、サイトの目的やゴールとそのアクセス解析の内容が結びつけられていないからだと思います。

  • そのWebサイトの目的は何で
  • ゴールは何で
  • そのための戦略はこうで
  • 戦術としてこれとこれとこれを実施して
  • それぞれの戦術の目標値あるいはKPIはこれで
  • それを効果測定するにどういうツールのどの項目を見るのか

目的とゴールを確認し、進むべき方針(戦略)とやるべきこと(戦術)を決め、ではその結果や数字は何を見ればよいの?という段階で、やっとアクセス解析で見るべきポイントが見えてきます。たとえば日々のトレンドではこういう項目をチェックして、効果分析の時はここを見て、詳細をもっと深掘りしたいときはおそらくこのあたりを調べればよいだろうという推測が立てられたり、わかってきたりします。

話を単純にしてしまうと、

  • サイトの目的は、資料請求数をより多く、より効果的に獲得することで
  • ゴールは、○月までに月間100の資料請求数の獲得と、獲得にかかる費用を○○円までに抑えることで
  • 戦略は、たとえばこういう属性ユーザーの流入の増加だとして
  • 戦術としては、各種広告やPRだったり、一方でコンテンツの充実やSEO強化だったり
  • それの効果測定をするには、広告ごとのCPAだったり、CV数やコンバージョンレートや直帰率だったり、自然検索経由の流入数や平均PVや直帰率だったり
  • じゃあ、アクセス解析ツールや広告の管理画面や広告効果測定ツールで、ひとまずそれらを押さえていきましょうか

という流れ。もちろんこれだけではないですが、ひとつの大きな流れとしてはこのようなものになると思います。視点としては、戦術の改善ポイントを探るという観点。

軸となるのは、そのサイトの目的とゴールです。それが中心に座っていなければ、なかなか数字の意味をくみ取れないですし、戦術も右に行ったり左に行ったりしてしまいます。

いまさらかもしれませんが、そのサイトの目的やゴールを再確認してから改めてアクセス解析のレポートを見てみると、新たな発見があるのではないかと思います。

河野コメント

アクセス解析は個々の数字を見るよりも、傾向(トレンド)を見ることのほうが重要です。それは常に(自分たちが行なった)何かの施策の結果がそこに現われているからです。

PVが増えることがいいかというと、必ずしもそうではなくて、PVが増えれば当然サーバーコストも増加するわけで、たとえばECサイトの場合は最小のPVで最大の売上を獲得するほうが儲かります。当然、PV保証の広告モデルで運営しているサイトの場合はPVが多いに越したことはありません。
大事なことは、その指標が自社のビジネスにとって、どういう意味を持ち、どのくらい重要なのかを正しく把握することです。

ただ数字を眺めていては何も得られません。そこがプロとの差だと思います。

市嶋 泰樹

フリーランスのWebアナリスト。Webマーケティング・プランナー。Web解析(アクセス解析)を軸としたサイト内の改善、サイト外施策の改善を支援しています。お仕事のご依頼等は、Cinci(「シンシ」と読みます)のWebサイト( http://cinci.jp/ )まで。

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