右足靴だけ10個あったらどうするか

shoes別の話。あなたは靴屋です。なぜかあなたは靴の右足だけを10足分、持っています。そしてあなた以外に10人の靴屋がそれぞれ1足ずつ左足だけの靴を持っているとします。

これはマーケティング戦略のテクニックの話です。

10人のライバル靴屋たちは一致団結して「右だけ持っていても売れるわけないんだから、俺たちに安く売れ」とあなたに迫ってきます。たしかに右だけでは売れないし、多少安くてもゴミになるよりマシかもしれません。
原価割れしなければ御の字と、あなたは彼らに靴を売りますか?

あえて不均衡(需給ギャップ)を作る

結論から言うと、これは売るべきではありません。マーケティングを理解した靴屋は自分の持っている10足の靴のうち、ひとつを捨てます。絶対取ってこれないように断崖絶壁から投げ捨てます。あるいは燃やします。

なぜか?

そうすることで自分にイニシアティブを持ってくるのです。そこにあるすべての靴を合わせても、9足分しかセット組みできないので、ライバル10人は余ったひとりになりたくないから、多少値段が高くついてもあなたが持っている右足靴を譲ってくれと言ってきます。

あなたは9足分を例えば1.2倍の価格で売ることで、10足を定価で売ったとき以上の(もちろん10足を定価割れで売ったとき以上の)儲けを手にすることができます。

まあ実際にこういうケースが起こることはそうそうないのですが、プレミアムというものはこういう発想から生まれます。

いかに自分にイニシアティブを持ってくるか、これは重要なポイントなのです。

河野

当メディア編集長。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知らせメール」などを考案した。また、はてな社との協業による商品の人力検索サービス等をプロデュース。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員を務める。2007年から2010年までブックオフオンライン株式会社取締役を務め、サービスの立ち上げ全般のサポートに加え、「オトナ買い」や「デマチメール」などの独自機能を考案した。その後、フリーランスに。2014年から株式会社クラシコムに勤務。現在に至る。「アクティブサポート」や「最愛戦略」の提唱者。個人として「攻城団」と「まんがseek」を企画運営。個人のサイトはsmashmedia

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