社長がTwitterやることの弊害について。

先日、ソフトバンクの孫氏がtwitter上でUstreamスタジオ設立を決めたという件をお伝えしました。

今回は、楽天株式会社の代表取締役会長兼社長三木谷浩史氏のお話。

twitter上で、ユーザからの意見や要望にばしばしと回答されています。以下にご紹介。

回答と言っても「担当にメールした」程度なんですけどね。

最近はこの件に限らず、孫さんがスタジオ作るとか、社長がTwitter上で直接ユーザーとやり取りしてそこでの決断のスピードを評価している話をよく聞きます。

もちろんそういうのはいいことだと思うんですけど、同時に危ういなあと思って見ています。

あそこまで大きな会社になると当然、社長がすべての経緯を把握してることはまずないわけですけど、にも関わらずいろんなリクエストに対して勝手に「対応する」とコミットされてしまうと現場はきっと混乱すると思うんですよね。
だってそこにあるのはひとりの意見に過ぎないし、自社の顧客かどうかさえわかんない人なんだから。

もし社内会議で出した提案の根拠が「たまたまネットでそう言ってる人がいたから」なんてことを答えようものなら退席させられてもおかしくないわけで、同じことを社長がやってることをどこまで理解しているのかは気になります。
(絶賛している人たちも、その思いつきに振り回される社員のことを考えてほしい)

コールセンターやマーケティングのスタッフが一生懸命ユーザーのご意見を分析しつつ対応してるのが、こんなひとことでひっくり返されたらたまらないですよね。
現場の課題もわかった上で、それが「聞くべき不満」なのか「無視すべき不満」なのかをきちんと精査しないと現場は混乱するだけです。

企業の社長に直接要望を伝えられるという可能性は否定しませんし、社長ブログと比べてもTwitterの場合はやり取りのスピードという点でのダイナミズムはすごいことだと思っているのですが、ワンマン経営加速ツールになってしまわないように注意が必要だなとも思っています。

せっかくなのでうまく活用してほしいですね。

[参考]
個人ブログのほうの記事ですけど、聞くべき不満と無視すべき不満についての話を書いています。

河野

当メディア編集長。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知らせメール」などを考案した。また、はてな社との協業による商品の人力検索サービス等をプロデュース。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員を務める。2007年から2010年までブックオフオンライン株式会社取締役を務め、サービスの立ち上げ全般のサポートに加え、「オトナ買い」や「デマチメール」などの独自機能を考案した。その後、フリーランスに。2014年から株式会社クラシコムに勤務。現在に至る。「アクティブサポート」や「最愛戦略」の提唱者。個人として「攻城団」と「まんがseek」を企画運営。個人のサイトはsmashmedia

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