RFM分析
概要
顧客分析手法のひとつ。顧客の購買行動を「最終購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「累計購買金額(Monetary)」の3つの指標から分類し、顧客の選別と格付けを行うこと。それぞれの頭文字を取って、RFM分析と呼ぶ。
一般的には、RFMのランクが高い顧客ほど優良顧客と言える。
提唱者等
不明。
解説
RFM分析は顧客のこれまでの購買行動・購買履歴から、優良顧客の抽出などを行う顧客分析手法のひとつ。
企業は自社の顧客データベースおよび購入履歴を対象に、前回の購入からどれだけ時間が経っているか、これまでに何回購入したか、その人が顧客となってからいくら使ったかを基準にして分類する。
具体的には以下の3つの観点から指標化し、顧客を分類する。
- R(Recency:最終購買日)
- 直近でいつ買ったか
- F(Frequency:購買頻度)
- どのくらいの頻度で買っているか
- M(Monetary:累計購買金額)
- これまでにいくら使っているか
指標化の方法は、たとえば最終購入日が3ヶ月以内の人には5点、3~6ヶ月以内の人には4点、6~12ヶ月以内の人には3点、というように購入日によって点数をつけていく。同じように、これまで自社から5回以上買ってくれた人には5点、3~4回の人には4点……とスコアをつけ、さらにこれまで自社の商品を5万円以上買ってくれた人には5点、3~4.9万円の人には4点というように顧客ごとにRFMの3つの観点でスコアをつける。
この指標化は5段階でも3段階でも10段階でもかまわないが、一般的には5段階で見ることが多い。それぞれの項目を5段階評価し、RFMのそれぞれの項目で最も高いランクの「555」の顧客がもっとも良い顧客(超優良顧客)だと考えられる。反対に「111」の顧客は、顧客といえるかどうかも含めて考える必要があり、DM送付などコストの発生するマーケティング施策は控えるべきと判断できる。
RFM分析を扱う際は立体的に捉えるのが良い。この場合、右上隅の位置が「555」となり、ここに近づくほど優良顧客であることが視覚的にもよくわかる。
あるいは平面的に捉える場合は2軸をFとMとして、Rによって移動させるのが良い。この場合も原則として、右上に行くほど優良顧客であるが、必ずしもそうではないので注意が必要。
RFM分析結果の見方
一般的に、RFMのランクのそれぞれの傾向としては次のようになる。
- Rのランクが高いほど将来の企業収益に貢献してくれる可能性が高い
- Rのランクが低ければFやMのランクが高くても他社に奪われている可能性が高い
- Rのランクが同じならFのランクが高いほど常連顧客
- Rのランクが同じならFやMのランクが高いほど購買力がある顧客
- RやFのランクが高くてもMが少ない顧客は購買力が低い
- Fのランクが低くMが高い顧客はRの高いほうが良い顧客
- Fのランクが上がらないか下がっている顧客は他社に奪われている可能性が高い
- RFM全てが低い顧客は切り捨ても検討
RFM分析の問題点
RFM分析はあくまでも顧客の分類をするだけであり、どの条件の顧客が優良顧客であるかについては企業ごとに異なる。 たとえば「毎月1万円購入する顧客」と「半年ごとに10万円購入する顧客」のどちらが優良顧客なのかはキャッシュフローの問題なども含めて定める必要があるだろうし、「555」以外の顧客の優先順位については自分で判断しなければならない。
また、RFMはDM送付やポイント付与などの促進策を行なうために対象者抽出法として用いられることが多いが、上位顧客だけにフォーカスして施策を行うと、過去にはたくさん購入していたが、ここ1年は買っていないという、R(Recency)の点数が低い顧客や、金額は少なくて目立たないが、安定して買ってくれる顧客を見落とす危険性がある。そのためあくまでも指標のひとつとして用い、新規顧客や最近購入していない顧客に対しても幅広くアプローチを行い、全体最適を考えて活用する必要がある。
当然、施策を行なう際には顧客の生活スタイルを無視できない。まとめ買いを好む人に頻繁にDMを送ることは逆効果になるわけで、顧客ごとの最適化が前提条件となる。
参考URL
参考書籍
- コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント ISBN 978-4894716575
- 社長が知らない秘密の仕組み ISBN 978-4828414546