ポストモダンマーケティング
出典: MarketingPedia (マーケティング用語集Wiki) , http://marketingpedia.jp/
概要
従来の顧客志向を念頭においたマーケティングを否定的にとらえ、新たな顧客のニーズを喚起し、創造していく戦略的マーケティング手法。
提唱者等
スティーブン・ブラウン(アルスター大学教授)
解説
従来のマーケティング(モダンマーケティング)における「3C」「4P」「STP」といった、画一的なポジショニング、商品開発、価格戦略によるマーケティング手法を否定的に捉え、「限定販売」「意図的な情報流通の制限」によって、消費者の好奇心を刺激する形の新たなマーケティング戦略のこと。
フィリップ・コトラーと論争したことでも知られるスティーブン・ブラウンは、モダンマーケティングがあまりに浸透したためにすでに他社と同じことを実施しても競争優位につながらないと主張している。具体的には多くの企業が「顧客第一主義」を主張する現状においては、顧客志向を実践しても差異化にならないという。
そこでスティーブン・ブラウンは「TEASE(トリック、限定、増幅、秘密、エンターテインメント)」という手法を提案している。「顧客を憤慨させよ」「顧客をじらして苦しめよ」といったTEASEの考え方は、顧客の要望をできる限りかなえようという顧客志向とは対極をなす。
顧客のニーズを満たすだけでなく、顧客の興味を長期的にとらえ続けるための心理的なセールスプロモーションを強調している点が大きな特徴で、なぜなら顧客満足度の向上よりも、商品を「売る」ことに重点を置いているからである。顧客の購買意欲を高めるために、いかに飢餓状態に追い込むかという一連の手法がポストモダンマーケティングである。
参考事例
- 「ハリー・ポッター」(発売直前までタイトルやページ数を「秘密」にした“拒否マーケティング”が奏功した)
参考書籍
- ポストモダン・マーケティング―「顧客志向」は捨ててしまえ! ISBN 978-4478502464