ソーシャルCRM
概要
狭義においては、従来のCRMに使われてきたコミュニケーションチャネル(電話、メール、ライブチャットなど)に、ソーシャルメディアを加えること。 広義においては、顧客のソーシャルメディア上での活動を自社の顧客データベースに取り込み、より適切な情報提供を実現し、顧客との関係を最適化すること。
提唱者等
不明。
解説
ソーシャルCRMは大きくふたつに分けられる。
ソーシャルメディアをチャネルとして利用する
まず考えられるのがコミュニケーションチャネル(サポート等の問い合わせ窓口)として、ブログやツイッターを用意すること。 顧客やユーザーにとってもっとも心理的ハードルが低く、手間がかからないチャネルを利用してもらうことで、より多くの顧客の声を収集することを目指す。今後の製品開発のヒントとなるような意見も得やすくなるし、問い合わせることなく離反していたであろう顧客を繋ぎ止めることも可能になる。 副次的効果としてオープンなソーシャルメディア上で対応することで、そのやり取りがアーカイブされ検索によって他の顧客の自己解決を促すことにも繋がる(その結果として問い合わせ数の減少が期待できる)。
このようにソーシャルメディアを顧客対応チャネルに加えること、さらにはソーシャルメディア内に顧客同士の互助会的なものを作り上げること(サポートのソーシャル化)が、狭義におけるソーシャルCRMである。
ソーシャルメディア上の顧客の活動を自社の顧客DBに統合する
次に考えられるのが顧客のソーシャルメディア上での活動に注目し、すでに所有している自社の顧客データベースに統合すること。 そして購買履歴などサイト内での活動状況ではわからない部分も含め、顧客ひとり一人をより深く理解し、適切な情報提供を行なうことで、本来のCRMの目的である顧客との関係を最適化し、LTVの最大化を図る。
ただし現実問題としてはツイッターやブログのアカウントを自社の顧客IDにひも付けることは非常に困難である。直接入力してもらうのがもっとも確実で早い方法だが、一部の顧客しか利用していないであろうソーシャルメディアについて、その利用状況を全顧客に聞くこともはばかられる。 実際的には問い合わせがあるたびにDBを埋めていくことになるだろう。あるいはアフィリエイトプログラムを展開することによって、アカウントを特定することも技術的には可能である。
ソーシャルCRMを実現するには顧客DBの拡張が重要であり、企業はあらゆるソースでの顧客の活動履歴、あらゆるチャネルでの対応履歴を統合していくことが求められる。
背景
とくに上述の広義におけるソーシャルCRMが実現可能になったのは、ソーシャルメディアが普及したことに加え、コンピュータの計算性能の高度化が大きい。 ソーシャルメディア上から顧客の趣味嗜好だけでなく、友人関係など構造化された情報が入手できるので、よりきめ細やかな対応が論理的には可能になったが、それを実現するのは高性能なコンピュータのおかげである。