クチコミマーケティング
概要
消費者間での会話による情報拡散、いわゆるクチコミ(口コミ)を意図的に誘発することを目的としたマーケティング。
提唱者等
特になし。
解説
昔からあるクチコミは主婦の井戸端会議に代表されるように、日常のコミュニティ(近所、学校、会社)で行なわれていたが、それをオンライン上で展開することで、時間や距離の制約を超えて消費者間の会話が起こることを狙うマーケティングが「クチコミマーケティング」である。
残念ながら、クチコミマーケティングには負の側面が数多く散見される。ペイパーポスト(Pay Per Post,PPP広告)と呼ばれるものはその代表で、ある商品やサービスのことをブログの記事として取り上げてもらうために金銭を支払う広告メニューが存在している。雑誌における記事広告に近いものだが、記事内に広告表示があることは少ない。そのためステルスマーケティングと批判されている。ただしこの点に関しては、最近では雑誌でも広告表示を義務づけていないことがあるため、一概にペイパーポストのみを批判できない。
スピーディに情報が共有されるネットにおいては、ステルスマーケティングを行なった企業やブロガーへの強い批判が生まれることが多く、過去にも炎上と呼ばれる批判コメントが集中した事例がいくつか存在している。
元ライブドア社長・堀江氏のブログや、一部のタレントブログでは、ブログ記事内での紹介を広告メニューとして販売していることもある。この場合の費用は数十万円程度だが、必ずしも効果が保証されるものではない。
クチコミを起こす方法としては、ユニークな広告宣伝のほか、ブロガーイベントなども実施されている。
しかし実際にクチコミが起こることは稀である。その意味においてはクチコミマーケティングの成功例は少ない。Hotmailが各メールのシグネチャに自らの勧誘文を入れたことで爆発的にユーザーを増やしたこと、招待制のSNS(現在は誰でも登録可能)のmixiが加速度的にユーザーを増やしたことは成功と呼べるだろう。
オンライン上でクチコミを意図的に起こせない理由としては、多くのブログはテレビや新聞などの既存メディア、マスメディアの情報をもとに書かれており、クチコミマーケティング信奉者が思っているほど、オンライン上での情報交換はなされていないことがある。 ただしこの状況が変わりつつあることも事実で、今後はいかに自社の商品をオンライン上で話題化するかについての試行錯誤が行なわれるだろう。と同時にクチコミを誘発する手法については、より一層モラルが問われることになると思われる。
参考書籍
- そんなんじゃクチコミしないよ。 ISBN 978-4774134314
- バズマーケティング ISBN 978-4478550182