アクティブサポート
目次
概要
ブログやツイッターなど、ソーシャルメディア上で顧客が書き込んでいる不満や疑問を検索して、企業自ら彼らに直接話しかけサポートを行なうこと。
提唱者等
河野武。
解説
アクティブサポートはその名の通り「アクティブ」なサポートであるが、従来のサポートが顧客からの問い合わせを待つのみの「パッシブ」なものであったことの対比語として用いられる。
パッシブとアクティブ
従来のサポートは電話にせよメールにせよ、顧客からの連絡を待つ「パッシブ(受け身・受動的)」の姿勢であったため、それに対比した表現としての「アクティブ」である。なので「積極的」というほど強い意味ではなく「能動的」程度のニュアンスで捉えたほうが正しい。
つまりツイッターにおいて、企業アカウントへのリプライ(@つきのツイート)に反応することは従来のパッシブな姿勢と変わらないため、アクティブサポートではない。これはソーシャルメディア上での顧客対応行為、ソーシャルCRMのひとつである(言うまでもなく、ソーシャルメディア上に顧客対応チャネルを設けることは歓迎すべきことである)。
ソーシャルメディアとアクティブサポート
アクティブサポートの考え方は、インバウンドに対するアウトバウンドの解釈が近い。ただしこれまではアウトバウンドのサポートは使用開始後のヒアリングといった形でしか行えなかったため(これはつまり顧客リストを上から順に、あるいはランダムに聞くしかないため)、サポートを望んでいない人にもコンタクトを取ることになっていた。
コールセンター、コンタクトセンターに連絡をする顧客が少ないことは、多くの人が認めるところである。彼らは何も告げずに去っていく。場合によっては自分の周囲の数名には不満を漏らすかもしれないが、その声は企業には届かない。 ソーシャルメディアではこうした小さな不満まで可視化されるため、企業は彼らが去っていく手前のギリギリのところで手をさしのべることができる。
アクティブサポートの手順
ブログであれ、ツイッターであれ、アクティブサポートの手順は基本的には変わらない。 自社の製品名やサービス名、ブランド名で検索して、発見した顧客やユーザーの不満を解決することだけである。ただし一歩間違えるとSPAMとなるため、企業には慎重な対応が求められる。
企業側のタイミングで、効率化の名のもとに同じ文面をコピペで返されることが本当にサポートなのかということをよくよく考えた上で、顧客に望まれる対応ができるかどうかが、ただのSPAMとアクティブサポートとの境界線である。
アクティブサポートで期待される効果
まず顧客満足度が上昇し、顧客の離反率が下がることが期待される。また顧客のLTV(生涯価値)が高まることも期待できる効果のひとつ。 こうした売上アップの効果に加え、ひとり一人との対話を続けた結果ソーシャルメディア上にFAQが点在することになるため、電話やメールの件数が抑制される(=コンタクトセンターのコスト削減)に繋がることもROIの観点では重視すべきポイント。
とくに後者のコスト削減効果については、インターネットの特性としてのアーカイブや検索に加え、ソーシャルメディアの伝播性がそれを後押ししてくれる。さらに顧客同士が企業の代わりにサポートを行なってくれるケースも出てくる(これはソーシャルCRMの特長でもある)。
以上のことから本来企業としては投資しやすい施策であるものの、具体的な投資効果は企業によって異なることや、担当者に求められるスキルや社内体制の整備が徹底できないため、アクティブサポートを実践する企業は驚くほど少ない。
参考事例
USではジェットブルーやザッポス、コムキャスト、マイクロソフト(Xbox)がツイッターを使ったアクティブサポートを実践している。 日本でも貝印がブログを対象にした「カイタッチ・プロジェクト(KAI TOUCH Project!)」がある。またソフトバンクモバイルやブックオフオンライン、アスクルといった企業もツイッターを利用してアクティブサポートを実践している。
関連URL
- Twitterアクティブサポート入門
- アクティブサポートの始め方 | マーケティングis.jp
- ギネス世界記録にも認定された、XBOXのTwitterによるカスタマーサポート:電話の数を減らす戦略でROIにも配慮 - Capote's Connected Communications - 続・広報の視点
- Twitterを本気で活用するなら「アクティブサポート」に挑戦を:NETMarketing Online(日経ネットマーケティング)
- カイタッチ KAI TOUCH Project!|貝印
- カイタッチ・プロジェクトの舞台裏 | トーキング.jp -対談ブログ-
- Twitterによるアクティブサポート | smashmedia