ネットワーク外部性

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目次

概要

ネットワーク外部性とは、電話などのネットワーク型サービスやゲーム機などのプラットフォームにおいて、加入者数や利用者数が増えれば増えるほど、1利用者の便益が増加するという現象。「ネットワーク効果」と表現されることもあるが、正しくは「ネットワーク外部性による効果」である。

提唱者等

不明。

解説

ネットワーク外部性は利用者が増えることによって、ますます利用者が増えるという、正のフィードバックが発生する。 こうした点において、ネットワーク外部性は、消費者が同種の財の消費者に与える外部経済という意味で、アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインがバンドワゴン効果と呼んだものと同じ性質を持っているといえる。

ネットワーク外部性が存在する場合、新規加入者にとっての便益は既存加入者の数に依存するために、加入者数の少ない間はなかなか普及しないが、加入者数がある閾値を超えると一気に普及するといった現象が発生する。

また両者を比較検討している者にとっては、より加入者が多いほうを採用する確率が高くなるため(享受できる便益が増すため)、ネットワーク外部性が語られるのはサービス間、プラットフォーム間の競争において、勝者がより有利な状況を生んでいくといった文脈で使用される。

ネットワーク外部性が働く製品・サービスには、「クリティカルマス」と呼ばれる一定の普及率があるとされる。これは、その市場において多くの人が受け入れることができる利用価値が達成される普及の度合いといえるが、この普及率を超えるとその製品・サービスは急速に広まる。

電話を例にしたネットワーク外部性の説明

例えば電話網への最初の加入者の便益は明らかにゼロである。2人目の加入者には、1人目の加入者と通信ができるという便益があるため、この便益を加入に伴い費用と比較して、実際に加入するかどうかを決定することができる。しかしながら2人目の加入が1人目の加入者に与える便益は考慮されないため、ここに外部性が存在する。

同様に、3人目の加入者は、先の2人と通信できるという便益と加入の費用とを比較して、実際に加入するかどうかを決定することができる。しかしながら3人目の加入者が先の2人に与える便益は考慮されないため、ここにも同じく外部性が存在する。

こうした電話や電子メールなどのようにネットワークの規模(ユーザー数や端末数など)がそのまま需要者(加入者)にとっての利用価値を左右する効果のことを「直接的効果(直接的ネットワーク外部性)」と呼ぶ。 直接的効果は、電話(固定電話、携帯電話、PHS)やFAX、電子メール、電子掲示板、チャット、インスタントメッセージなど、相互接続機器やコミュニケーション・サービスに典型的に見られる。また、言語において「英語の使用価値が高い」、通貨において「ドルの使用価値が高い」というのも同種の現象である。

家庭用ゲーム機の普及を例にしたネットワーク外部性の説明

家庭用ゲーム機の場合、ネットワークの規模(ハードウェアの普及度など)に応じて、その製品の使用価値に直接関係する補完財(ソフトウェア)の提供される量や質が決定される。 また、そうした補完財の存在が需要者(消費者)にとっての製品(ハードウェア)の価値を左右することになる。

たとえばセガサターンとプレイステーションの性能はほぼ同等であったが、プレイステーションのほうが量的にはるかに普及していたため、より多くの販売が見込めることから、ゲームメーカーはプレイステーション向けのゲームソフトの開発を優先し、そのため多種類のソフトウェアが提供されている。 ユーザーはプレイステーションを買ったほうが、より多くの選択肢の中からソフトウェアを選ぶことができるという便益があるため(中にはプレイステーションでしか遊べないゲームも多い)、プラットフォームとしてプレイステーションを選択することになる、といったものである。

このように製品が普及すればするほど、補完財が多く提供され、さらに普及が促進されるといった「正のフィードバック」が見られることを、間接的効果(間接的ネットワーク外部性)と呼ぶ。 間接的効果が見られる製品・サービスはコンピュータのほか、ビデオやCD/DVD(プレイヤー/レコーダとコンテンツ)、家庭用ゲーム機(機器とソフトウェア)、放送(受信機と番組)、クレジットカード/電子マネー(決済手段と利用場面)などが該当する。

参考事例

  • 電話
  • ソーシャルネットワークサービス
  • 基軸通貨
  • 家庭用ゲーム機
  • ビデオ(VHS/ベータ)

参考URL

参考書籍

関連項目

関連マーケティング