パレートの法則
目次
概要
パレートの法則とは、経済において、全体の数値の大部分はそれを構成する一部の要素が生み出しているという学説。
「2:8の法則」「80:20の法則」、「ばらつきの法則」などと呼ばれることもあるが、本来は別のものである。
提唱者等
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)が発見した。
解説
パレートの法則とは、その名の由来になったイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した「べき乗則」である。経済以外にも自然現象や社会現象等さまざまな事例に当てはめられることが多い。
パレートは、数理経済学の実証的な手法(統計分析)を用いて、経済社会における富の偏在(所得分布の不均衡)を明らかにした。これが「パレートの法則」と呼ばれているものである。この法則は、2割の高額所得者のもとに社会全体の8割の富が集中し、残りの2割の富が8割の低所得者に配分されるというものである。
現代のまちがった解釈
現代においてマーケティングの世界で用いられる「パレートの法則」の多くは、法則と言うよりもいわゆる経験則のたぐいである。自然現象や社会現象は決して平均的ではなく、ばらつきや偏りが存在し、それを集約すると一部が全体に大きな影響を持っていることが多い、というごく当たり前の現象をパレートの法則の名を借りて補強している場合が少なくない。
またCRMや顧客ロイヤリティなどとからめて主要な一部(80:20の法則で言う20%の部分)だけが重要で、残りは重要ではないという説明がまれに見られるが、それも本来のパレートの論旨とは無関係である。
現代でよくパレートの法則が用いられる事象
パレートがこれらの説ひとつひとつを唱えたわけではない。また、いかなる時にも厳密に80:20であるとは限らず、90:10や70:30の場合もある。つまり何事にもばらつきがあることを例に挙げているにすぎない。
- ビジネスにおいて、売上の8割は全顧客の2割が生み出している。よって売上を伸ばすには顧客全員を対象としたサービスを行うよりも、2割の顧客に的を絞ったサービスを行う方が効率的である。
- 商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。→ロングテール
- 売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
- 仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
- 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
- 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
- プログラムの処理にかかる時間の80%はコード全体の20%の部分が占める。
- 全体の20%が優れた設計ならば実用上80%の状況で優れた能力を発揮する。
これらの事象が事実かどうかはさておき、パレートの法則ではないことはたしかである
参考事例
参考書籍
- 80対20の法則 知的生きかた文庫 ISBN 4-8379-7504-6
- 人生を変える80対20の法則 ISBN 4-484-98106-8
- 人生を成功させるための「80対20」革命! ISBN 4-478-73244-2
- 楽して、儲けて、楽しむ 80対20の法則 生活実践篇 ISBN 4-484-05107-9