目次
概要
インターネット上のソーシャルアプリケーションで相互に、自由に利用できる前提で考案された、すべてのネットユーザーとその関係性を位置づけるグローバルなマップのこと。平たく言えば「ユーザー間の友人関係図」のこと。
提唱者等
USのブログサービス・LiveJournalのファウンダーであり、その後SixApart(LiveJournalを買収)を歴て、現在はGoogleに在籍するBrad Fitzpatrick氏が2007年に提唱したコンセプト。
解説
ソーシャルグラフとはその名の通り、狭義においては人間同士の関係を示すものであるが、広義のそれはさらにコンテンツやモノとの関係が加わる。つまり自分の興味のある曲や映画、あるいは所有物なども網羅される。
第一義的な目的としては、新しいソーシャルアプリケーションに登録するたびに、すでに別のソーシャルアプリケーションで友人関係になっている同じ友人と、新たに友人関係を申請し直す必要があることを解消することである。 つまりmixiで友人関係になった相手がツイッターにも登録している場合、自動でフォローをすることができることを目指している(大事なのは「できる」という選択肢の提供で、裏側で勝手にやることではない)。
グラフと呼んでいる通り、基礎となるのはグラフ理論である。ソーシャルグラフにはノード(点)とエッジ(線=関係性)があり、これを相互に共有し、大きなひとつのグラフを作ろうとしている。
グラフ理論とは グラフ理論(Graph theory)は、数学の一分野。ノード(節点・頂点、英語:node)の集合とエッジ(枝・辺、英語:edge)の集合で構成されるグラフの性質について研究する学問である。なお「エッジ」をリンク(英語:link)という場合もある。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%95%E7%90%86%E8%AB%96
またソーシャルアプリケーションでユーザーが登録している情報の中には、当然非公開の関係性もあるため、ソーシャルグラフでは公開されているパブリックなデータを対象としている。 具体的にはユーザー同士の友人関係に焦点を合わせており、各ユーザーの誕生日、出身地、趣味等といったものは当面は扱わない。
現在も一部のソーシャルアプリケーションでは、登録時にGmailなどの連絡先情報を利用して、すでに登録している友人を検索しているが、これは異なるメールアドレスで登録している場合はヒットしないし、そもそも見つけるだけで相互の関係性は継承されないため、ソーシャルグラフはこれをさらに推し進めたものを目指している。
可能性と懸念点
OpenIDのようにひとつのアカウントであらゆるソーシャルアプリケーションが利用できるようになることと同様、それぞれのソーシャルアプリケーション上で設定したユーザー間の信頼関係を他のアプリケーションでも簡単に反映することができるのは、ユーザーにとっては非常に魅力的である。
その一方で極めて性善説的な立ち位置のプロジェクトであるため、たとえばここで作られた情報がSPAM業者などに悪用される危険性はある。 そのための技術的、法的な対処については今後の課題であろう。
また一社が独占的にユーザーの情報を所有することへの懸念があり、個々人のプライバシーを守り、ソーシャルアプリケーションを提供する企業の存続に関わらずデータの継続性を担保するためにも非営利団体を作るべきだと提唱されている。 じっさいBrad氏は「ソーシャルグラフをコミュニティの財産にすること。」と発言している。