「ロングテール」の版間の差分
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2010年11月13日 (土) 00:33時点における版
目次
概要
ロングテール(The Long Tail)とは、「あまり売れない商品が、ネット店舗での欠かせない収益源になる」とする考え方。
販売スペースに制限のないECサイトにおいては、一部のベストセラーによる売上よりも、年に数個しか売れないマイナー商品を合算した売上のほうが大きく貢献すると指摘されている。
ロングテールの名称の由来は、そのグラフの形状にちなんでいる。
提唱者等
米『Wired』誌の記事で同紙編集長であるクリス・アンダーソン(Chris Anderson)によって提唱された。
解説
ロングテールは最初、オンラインDVDレンタル店の米ネットフリックスやAmazon.comなどの特定のビジネスモデルを説明するため提唱された用語で、日本では「ロングテール効果」「ロングテール現象」「ロングテール論」として紹介されることも多い。
名前の由来
べき乗則に従う商品売り上げのグラフを、縦軸を販売数量(Population)、横軸を商品名(Product)として販売数量順に並べると(右図)、あまり売れない商品が恐竜の尻尾(tail)のように長く伸びる。つまり、販売数量が低い商品のアイテム数が多いということを表す。
このグラフの形状から因んで「ロングテール」という。
パレートの法則との関係
一般的に、ある特定の分野における売上は上位の20%が全体の80%を占めるという「パレートの法則(冪乗の法則)」に従っているとされている。
そのため従来の小売店では20%の商品が売上の生命線であり、大半の商品(残りの80%の商品)は軽視されがちだった。 しかしECサイトにおいてはこうした商品もビジネスに大きく貢献する。とくに商品の展示スペース、販売スペースが無限であるため、小売店の何倍ものアイテム数を揃えることも可能になった。その結果として、マイナー商品の売上を集積することにより新たなビジネスモデルを生み出した。そのことを説明する時に使われるのがロングテールである。
「ヘッド」と「テール」の意味
ロングテールを語る際には「ヘッド」と「テール」という言葉が使われる。厳密に言うとロングテールにおける「ヘッド」とは現存するもっとも大きな小売店に置いてある商品の集合体(あるいは数)を指し、「テール」とはそれ以外の商品を集合体として呼ぶ際に使われる。本の分野だともっとも巨大な店舗に置いてある商品の売り上げ上位から下位全てがヘッド部分に属しそれ以外はテールに属しているということになる。これはロングテールがオンライン小売店の特徴的なビジネスモデルを説明するために使われ始めた点と符合する。
しかし「ヘッド」はしばしばヒット作や多くの人たちが知っている作品・ブログ等を呼ぶ際に使われ、テールはそれ以外を指す際にも使われることがある。またパレートの法則から上位20%をヘッド、下位80%をテールと呼ぶこともあるがこれはそもそもの言葉の定義上必ずしも正確な使用法ではない。
しかしロングテールという言葉が普及するにつれ、元々の意味を拡張した解釈がなされており、必ずしもこれらの使い方が不正解とは言えないところである。
ロングテールの問題点
ロングテールはすべての商品が同じ販売条件のときに成り立つ。 つまり在庫型販売の場合は成立しにくい概念でもある。通常、小売店は店頭にある商品はすべて販売可能であるが、ECの場合はカタログは参照できても購入(注文)できない商品も多い。これは商品を自社の倉庫に在庫していない、あるいは問屋やメーカーが発注に応じない場合である。
メーカーは売れ筋を中心に増産するため、こうした商品は「テール」に多くなるのは当然である。そのため見かけ上よりも「ヘッド」と「テール」の差が現れにくく、ロングテールで語られるほどの変化が起こらないことも多い。
一方、これがiTunes Storeなどのデジタル商材を扱う場合は、ロングテールの想定どおりの結果になりやすい。これは商品に在庫の概念がなく、無限に生産・販売が可能であるためである。
このあたりの実際的な商品の販売可能数を把握することがロングテールを語る際には不可欠である。
参考URL
- ロングテール - Wikipedia
- ロングテールなんて大嘘だ---突如巻き起こったマーケティング論争 | MediaSabor メディアサボール
- アマゾンと、ロングテールに関する“大きな勘違い”:日経ビジネスオンライン
参考書籍
- ロングテール―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 ISBN 978-4152087614
- ウェブ進化論 ISBN 9784480062857