マーケティングの4P・前編(ProductとPrice)

マーケティングには「n個のx」というようなキーワードがたくさんあります。これもある種のマーケティングで、キャッチコピーのようにすることで注目を集めたり、信用度が増したりすることを狙っています。「高度成長時代の3C(カー、カラーテレビ、クーラー)」のようなものです。今回はそんな中でも特に有名な「4つのP(4P)」について解説します。

マーケティングミックス

「マーケティングミックス」という考え方があります。モノが売れるにはいろんな要素が微妙に、かつ密接に絡まりあう必要があるのですが、その要素には天気のようにコントロールできないものから、価格やパッケージの色のように自分たちでコントロール可能なものまでいろいろあります。

そういうコントロール可能で、しかも重要な要素をまとめたものが「4P」です。具体的には、「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモーション(Promotion)」の4つの頭文字が全部「P」なので、それをまとめています。

この「マーケティングの4P」はジェローム・マッカーシーという学者が言ったそうですが、マーケティングの教科書には必ず出てきます。

そしてこの4Pは、それぞれ「○○戦略」として考えることができます。マーケターは本来的にはこのすべてを網羅して、かつ俯瞰して考えないといけないのですが、実際的には得意不得意がありますし、大企業になれば複数の部門に分かれて担当していることも多いです。製品企画部、広告宣伝部、といった感じですね。

でもできるなら、そのすべての工程にマーケティングは関わるべきです。

それではそれぞれの戦略について見ていきましょう。中小企業の経営者やマーケティング担当者はきっとすべてを無意識に手がけていると思いますので、その確認をしながらどうぞ。

製品戦略

まずは「製品(Product)」です。これは機能やブランド、サポートや保証などを含んでいます。これがないと始まりませんね。

製品名(サービス名)は何にするか、色は何色にするか、パッケージの形状やデザインはどうするか、その他さまざまなことを決めなければなりません。さらには売れなくなった製品を市場から撤退させたり、モデルチェンジをするかどうかを判断することもここに含まれます。

どんなに優秀なマーケターでもダメなものを売り続けることはできません(1回限りなら売れると思いますが)。

100点満点の製品なんてなくて当然です。だけど、どこかひとつでも本物の価値を組み込んでほしいなと思います。ぼくがいつも思うのは、自分が愛用できるくらいの商品でないとリピーターは生まれないということです。

予算や人の問題、いろんな制約があるのは誰もが同じです。だからこそ安易に逃げないで、自らが社会に何を提供するのかというテーマと向き合い続けてほしいです。

小手先のテクニックで売るのではなく、とことん本物志向で突き進む、そんな製品がもっともっと世の中に出てきて、それを多くの人に届けるためにマーケティングの知識や技術を活かしてほしいなと思っています。

価格戦略

次に「価格(Price)」ですが、これも重要ですね。1,000円と980円では消費者心理はぐっと変わります。一般的に、1,980円や9,800円という価格設定が多いのは、それだけ過去の偉大なマーケターの成功事例が共有されてきたからなのです。
(と同時に、現役のマーケターは疑ってかかるべきだとも思います)

ただ、考えなきゃいけないのは「結果としてどっちが儲かるのか」ということです。例えば、1,000円の商品を980円にして購入者が200人増えたとします。元々の購入者が800人、原価が500円とすると、当初の利益は、

(1,000円?500円)×800人=400,000円

ですね。それが980円に値下げしたことで、

(980円?500円)×1000人=480,000円

になりました(ものすごく荒い計算になってるのはご容赦ください)。
このケースでは利益が増えたので良かったのですが、では値下げしても50人しか増えなかった場合はどうなるでしょう。

(980円?500円)×850人=408,000円

と微増です。さらに30人しか増えなかったら、

(980円?500円)×830人=398,400円

とかえって利益が減ってしまっています。

この30人しか増えなかった場合でも、売上は 980円×830人=813,400円 で、前よりも増えています。多くの人はここでミスを犯します。

「値下げをすれば顧客が増えて、売上が増える」と思いがちですが、必ずしも値下げがベストではないこともあります。梱包資材や輸送費などの変動費だって増えるわけですしね。

むしろ値上げのほうがいいことだってあります。

例えば、先ほどの商品を1,500円にしてみましょう。お客さんは減ります。でも100人しか減らなかったらどうでしょうか。

(1,500円?500円)×700人=700,000円

すごい利益増ですね。当初の利益よりも30万円も増えています。このケースで考えるなら、お客さんが半減(400人)しても当初と比較してトントンなのです。

大事なことはお客さんを増やすことですか?

もし利益を増やすことが目的なら、価格戦略を考える時には必ずその結果、利益総額がどうなるかを試算してください。

(PlaceとPromotionについて書かれた後編を読む)

河野

当メディア編集長。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知らせメール」などを考案した。また、はてな社との協業による商品の人力検索サービス等をプロデュース。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員を務める。2007年から2010年までブックオフオンライン株式会社取締役を務め、サービスの立ち上げ全般のサポートに加え、「オトナ買い」や「デマチメール」などの独自機能を考案した。その後、フリーランスに。2014年から株式会社クラシコムに勤務。現在に至る。「アクティブサポート」や「最愛戦略」の提唱者。個人として「攻城団」と「まんがseek」を企画運営。個人のサイトはsmashmedia

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