ソーシャルメディアマーケティングのトリセツ「ブログ編」

今回はブログを取り上げます。

ブログとはなにか

ご自身でブログを持ってらっしゃる人もずいぶん増えましたし、いまさら説明は不要でしょうが、新聞記事等ではつい最近までブログは「日記型簡易ホームページ」と紹介されていました。いまではテレビでも説明なしで取り上げられますし、一般名詞として使われていますが、それはここ数年の話です。

ブログの特長は「更新作業が簡単であること」です。HTMLの知識がない人でも手軽に自分のサイトを立ち上げ、更新できます。技術的にはRSSが配信されるため更新を把握しやすくなった(=読みやすくなった)ことや、「パーマリンク」という記事ごとに固有のURLが付与される仕組みのため外部からリンクしやすくなったことが挙げられます。ブログが検索エンジンに強いのも、またソーシャルブックマークなどのサービスが生まれたのも、このパーマリンクの影響が大きいです。

ブログが普及した背景として、アメリカでは2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件がきっかけだと言われています。報道規制が敷かれる中、自分の目で見た一次情報を発信したい人と、それを読みたい人がブログに飛びついたという経緯があります。

日本ではもともと2000年前後からインターネット上に日記を書く文化があったのですが、デザイン的に洗練された(とくに更新するための管理画面がしっかり作られた)ブログにシフトする人が2003年頃から増えました。

それが一気に加速するのが「無料ブログ」の登場です。2003年12月にオープンしたニフティの「ココログ」に代表される無料ブログは、誰でも簡単に自分のブログを持てるということで急速にブログユーザー(ブロガー)を拡大しました。これは2000年以降、インターネットユーザーが急増したことも大きな要因です。
その後も芸能人がブログを書くようになり、テレビや雑誌での紹介記事も増えたことで、市民権を得るようになっていきました。

http://www.cocolog-nifty.com/

ブログとマーケティング

ブログをマーケティングに利用した例は、すでに多数あります。ですから「使えるのか?」という問いはいらないでしょう。ツイッターやFacebookへの参入を検討する前に、まずはブログにしっかり取り組むべきです。

ただし単純にブログを開設するだけが活用例ではありません。以下に具体的な活用例を見ていきましょう。

ブログの活用例

ブログのマーケティング活用にはいろんなパターンがあります。代表的な活用例は企業ブログのように企業の社員が更新するブログ、いわゆる「企業ブログ」です。
それ以外にも「オンラインモニタリング」や、消費者のブログに記事を書いてもらおうとする「ブロガーリレーション」などがあります。

企業ブログ

企業自らブログを開設し、直接発信するのが「企業ブログ」です。「ビジネスブログ」とも呼ばれます。
テレビCMやパンフレットでは紹介しきれない商品の詳細な紹介をしたり、開発者の声を伝えたり、社長や広報担当者が自社のPRをするために利用されています。

タイプ別の利用例については後述しますが、さまざまな具体例については企業向けのブログを販売しているシックス・アパート株式会社(ぼくが以前在籍していた会社です)に事例集がまとまっているのでご紹介しておきます。

http://www.sixapart.jp/business/

オンラインモニタリング

消費者が自社のブランドについて何を語っているのかを調査します。具体的にはブログ検索や「Google アラート」のようなサービスを利用します。

http://blog-search.yahoo.co.jp/

http://www.google.co.jp/alerts/

キャンペーンの反応、新規出店や新メニューの反応、消費者のブログには率直な意見が書かれています。その日のうちに書かれるものも多いです。
そうした声に耳を傾けることで、早めに修正することができます。

さらに不満や疑問を述べられている場合には、企業の担当者がそれに回答するコメントを残す「アクティブサポート」もブログマーケティングの一例でしょう。

ブロガーリレーション

ブログが普及して、消費者がブログを読む頻度が高まったために(検索結果にブログが表示されることも増えましたしね)、企業としてはブログ上で自社のことを取り上げてもらいたいと考えるようになりました。
そこでブロガーに対して、さまざまな取り組みをしています。ブロガーとは「ブログを書いている人」の意味です。

比較的古くからある手法は「アフィリエイトプログラム」です。ECサイトの場合はアフィリエイトプログラムを開始することで、自店舗への誘導を促します。ECサイト以外にも資料申込みなどを条件に対価を発生させているケースもあります。

同様の事例として「ブログパーツ」の配布もあります。これはブログの飾り付けとして利用できるFlashバナーを配布することで、そのエリアを自社の広告枠としつつ、自社サイトへの誘導を図ります。ユニクロの手がけた「UNIQLOCK」が有名です。

その他にもじっさいに新製品説明会にブロガーを招待する「ブロガーイベント」、あるいは使用レポートを書いてもらうことを条件に製品モニターをお願いする「ブロガーサンプリング」などがあります。
ただしこれらの企業とブロガーが直接やり取りする手法には、ステルスマーケティングペイパーポストといった問題が散見されています。

企業ブログの利用目的

ここで紹介するのは企業ブログの主な利用例とその目的です。
ブログが企業のマーケティングを変えたのは、担当者が自分でサイトを更新し、情報を即座に発信することができるようになったことです。

これまではマーケティングの担当者がサイトの更新をしたい場合、ウェブサイトを管理する部門や運用を委託している制作会社に依頼をしていました。そのため誤字脱字の修正ですら数時間、遅い場合は翌日になってしまうことも珍しい話ではありませんでした。
当然、依頼のために余計な手間が増えていますから、さらに時間がかかります。ブログなら担当者が自分で追加・修正することができます。

ブログによって変わった点はたくさんありますが、企業の情報発信がスピードアップしたことがもっとも重要なポイントです。

担当者ブログ

いちばん多い利用例は「担当者ブログ」と呼ばれる、製品やブランドの担当者が更新するブログです。
最近では新商品、新サービスがリリースされると同時に担当者がブログを開設し、開発の裏話や販促イベントの報告などを自分の言葉で伝えるケースも増えてきました。またキャンペーン期間中だけ更新する期間限定の「キャンペーンブログ」もここに含まれます。

テレビCMは15秒、30秒しかありませんのでイメージを伝えるだけになってしまいます。雑誌広告やパンフレットもスペースの都合ですべてを伝えきれません。またそれらを補完すべきウェブサイト(公式サイト)も詳細なスペックを紹介するだけでとどまっていることも多いのですが、これはまさに「更新が大変だから」という理由によるものです。

そこでブログを開設して、企業側が想定する利用シーンや使用例を紹介したり、さらにはブログをコミュニケーションの場として商品の購入者、サービスの利用者と直接対話ができれば、その対話の履歴そのものがコンテンツとなって、購入検討者の背中を押してくれることになるでしょう。

http://djmalts.blog.suntory.co.jp/

http://letsblog.panasonic.jp/pc/index.html

スタッフブログ

「スタッフブログ」は「担当者ブログ」のように社員が更新するブログですが、特定のブランド担当者ではなく、社員全員(もしくは大勢)で運営します。ベンチャーのように社内に事業がひとつしかない場合は、スタッフブログとしてひとつのブログを運営するのが一般的です。

目的としては「担当者ブログ」と同じですが、結果としてより多くの部署の社員が参加することになるので、会社のイメージアップにも繋がります。また、社内の雰囲気が垣間見えることで、採用にも効果があります。

ぼくが立ち上げにかかわったブログとして、ブックオフオンラインのブログとブラザーのブログがあります。それぞれ内容は異なりますが、透明性と読者との対話を意識して、できるだけ社内のことを赤裸々に書くことを勧めています。

http://www.bookoff-online.jp/blog/

http://weblog.brother.co.jp/

広報ブログ

「広報ブログ」は文字通り、広報担当者が更新するブログのことです。
広報の仕事は会社のこと、ブランドのことを世間に正しく知っていただき、良いイメージをもっていただく点にあります。
しかしそのためにできることは限られていました。これまではプレスリリースを出すことと、メディアリレーションとして記者に情報提供することくらいでしたが、ブログを使えば直接消費者に語りかけることができるのです。

最近では企業だけじゃなく、大学やスポーツチームでも広報ブログを開設するケースが増えてきました。

http://blog.nittai.ac.jp/koho/

http://blog.reysol.co.jp/koho/

レピュテーションマネジメントとブログ

レピュテーションマネジメントにおいてもブログは有効です。
限られた時間、限られたスペースで正確に情報を伝えるのは難しいです。多くの場合、誤解が生まれ、その誤解がひとり歩きすることも少なくありません。

だからこそ企業は(もちろん大学やスポーツチームも)自ら発信できる場所を確保して、オンラインモニタリングで把握した状況に応じて、正しい情報を伝える必要があります。
また、そうした場合は直接先方のブログにコメントを残すこと(アクティブサポート)で誤解を解くのも有効です。

とくにブログの場合はその後もインターネット上に残ることになるため、将来のリスクを考えても、きちんと誤解を解いておくことは重要です。

社長ブログ

「広報ブログ」の特別バージョンが「社長ブログ」です。社長は良くも悪くも企業の顔ですから、その社長自らが会社について世の中に語ることは、自社のブランディングにおいても、また採用においても効果があります。

「社長ブログ」は一時期ブームになったこともあり、多くの企業、とりわけベンチャー企業で取り組まれましたが、その大半が更新されていません。あるいは更新されていても、くだらない会食の話ばかりで会社の姿勢やビジョンを語るものは少ないです。
(USでは大企業の経営者クラスが消費者に語りかけるブログもけっこうあるのですが、このあたりはまだまだ日本の大手企業は保守的なのかもしれません)

http://ameblo.jp/shibuya/

http://www.katsukinoboru.jp/

その他

その他、ブログの長所である「HTMLを知らない人でも手軽に更新できる」点を活かして、ニュースリリースの更新システム(CMS)として活用するケースもあります。

ブログで更新するようにすれば、RSSも自動で対応できるため、こういったサイトの更新情報を管理するにはメリットだらけです。強いて言うなら、担当者が入力方法を覚えなければならないのがデメリットですが、ワープロソフトが使えれば十分なレベルなので心配はいりません。むしろコスト的に見ても更新スピードの観点でも導入をオススメします。

ブログのトリセツ

ブログをマーケティングに導入する際の注意点についてまとめます。

「オンラインモニタリング」についてはすぐにでも始めるべきでしょう。最初は毎日でなくてもかまいません。週に一度、ブログ上にある「消費者の生の声」を読むようにしましょう。それをまとめて社内にフィードバックすることから、ソーシャルメディアとの付き合いを始めるのがいいと思います。

以下は「企業ブログ」と「ブロガーリレーション」について整理します。

企業ブログのトリセツ

企業ブログを始める際に、まず決めなきゃいけないのはブログの設置場所です。大きく分けると、ASPで間借りするものと、自社サーバーにインストールするものがあります。

ASPかインストール型か

ASP型のメリットは開設が簡単であることです。とくにマーケティング部門だけで進める場合は自社サーバーがあってもそこにインストールをお願いするのが難しかったり、セキュリティ監視上できなかったりしますので、その場合はASPを選ぶことになります。
主なサービスとして「TypePad」や「はてなダイアリー」などがあります。

http://www.sixapart.jp/promotions/tpbiz-hp.html

https://www.hatena.ne.jp/info/sponsoreddiary

反対にインストール型のメリットはカスタマイズできる点にあります。インストールの手間は多少あるものの、デザインについても細かく修正できますし、プラグインと呼ばれる拡張機能を入れることで自由にカスタマイズできます(プラグインは自分で作ることもできます)。
主なソフトウェアとして「Movable Type」や「WordPress」などがあります。

http://www.sixapart.jp/movabletype/

http://ja.wordpress.org/

コスト面ではどちらも無料のものから有料のものまでありますが、ここについては個人用のブログと同じで無料の場合は広告が表示されたり、サポートがなかったりしますので、企業利用の場合はそういった条件を踏まえて、選択されるのがいいと思います。とくにブログに関しては普及してからもう5年以上になりますので、実績があるサービスやソフトを選ばれるのがいいでしょうね。

開設にあたって

企業ブログを始める際に、タイトルとURLはしっかり考えましょう。このふたつは検索結果でも表示されるため、ひと目で企業が公式に運営していることが伝わるようにしたいものです。
たとえばタイトルに「○○社、公式ブログ」と入れるとか、ドメインを co.jp にするとか、工夫が必要ですね。それ以外にも信用を得るために、公式サイトからリンクをはったり、ヘッダー・フッターなどのデザインを公式サイトにあわせるのも有効です。

ブログの記事を誰が書くかはそのブログの位置づけによって変わってきますが、顔が見えることがブログの特長です。最初の記事で自己紹介するとか、プロフィールを書いておくとか、運営者がどういう人かわかるようにしましょう。

必ずしも本名を名乗る必要はありませんが、同時に伏せる必要もありませんので、できるだけ本名で書くようにしましょう。ただし名字だけでかまいません。誰かわからない人よりも、「○○社の河野です」で語りかけられたほうが親近感がわきますよね。

いちばん困るのは内容でしょう。
心構えという点では、いつも「これは企業ブログだ」ということを忘れないでください。個人ブログのように思ったまま書くのはダメですし、昨日の食事の話も書くべきではありません。会社の看板を背負ってる自覚は常に持ち続けてください。

その上で、ひとりの人間として、自社のビジネス領域における専門家として、あるいは企業ブログの担当者として、率直かつ誠実に書けばいいのです。
会社が考えていること、新製品に込めた思い、社内のイベントの様子などはどれもブログのネタになりますし、キャンペーンの結果などもあなたにしか書けないことです(そしてみんなが読みたいコンテンツです)。
背筋は正しつつ、でもあまり肩肘を張らずに書いてください。だんだんと読者のリアクションが産まれますので、そうすると書くのが楽しくなるはずです。

企業ブログはすでに事例がたくさんありますので、よその会社のブログを参考にするのも悪くはないのですが、1年以上続いているブログを見るようにしてください。
ただ、あれこれ見すぎるとかえって迷いが生じることになるでしょうから、ぼくは他の会社のブログは見なくていいと思います。大事なことはあなたが自社の顧客に何を伝えたいかということです。

コメント欄を用意すべきか

結論から書けば、ぼくは用意すべきだといつも伝えています。
もちろん何を書かれるかわからないので怖いという不安はよくわかります。しかしブログにコメント欄を用意しなければ、その声はどこかに消えるのでしょうか。そんなことはありません。他の場所に書かれるだけです。
そうであれば自分たちが把握できる場所で誠実な対応をし、説明を尽くしたほうがよほどリスクマネジメントにおいても安全だと思いませんか?

人の口に戸は立てられません。ソーシャルメディアも同じです。だからこそできるだけ分散させないことがリスクの低減に繋がるのです。分散すればするほど、誤解の訂正は難しくなります。むしろ積極的にブログに意見を集め、コミュニケーションの中心に育てることが望ましいです。

ソーシャルメディアでの対話は衆人監視で行なわれます。みんながあなたの敵ではありませんので、堂々と受け答えしてください。当然ですが論破する必要はありません。考えがちがう方はいらっしゃるので、全員を「納得」させることは不可能です。それでも「理解」していただくように対話を続けましょう。そのやり取りが残りますし、数日後あるいは数年後に他の方に読まれるのです。
真摯に対応すればきっと多くの第三者が共感してくれますし、それが未来の顧客を作るということを忘れないでください。

ブロガーリレーションのトリセツ

消費者がブログを書くようになったことで、多くの声が可視化されるようになりました。その結果、いわゆるクチコミというものが非対面のソーシャルメディア上でも行なわれるようになったのは事実です。

ブログ上で自社のブランドを取り上げてもらうためにブログパーツを配布することは悪い話ではありませんが、よほどユニークだったり実用的だったりしなければなかなか難しいです。
また、そういった背景に乗じてブログに取り上げてもらうことをビジネスにするクチコミマーケティングを標榜する企業が登場してきました。

「クチコミを起こしませんか?」

お金を払ってブログに記事を書いてもらうことを「ペイパーポスト(Pay Per Post)」と呼びます。このペイパーポストのサービスが国内だけで数十社あります。
ペイパーポスト自体は違法ではないのですが、問題はこうしたサービスに登録しているブロガーは「100円もらうために記事を書いている」だけで、その会社のブランドにも商品にもなんら関心がない点にあります。

こうしたサービスでは記事執筆を依頼する際に、製品の紹介文がメールで送られてくるのですが、お金のために記事を書くブロガーはほぼそのままコピーして公開します。そのため、多くのブログで似たような記事が並ぶことになります。

さて、こうしたブログを見た読者――その大半は購入検討者なのですが――は何を思うのでしょうか。購入が後押しされると思いますか? ブランド価値が高まると思いますか?

また「さまざまなブログからリンクされるため、SEOに効果がある」というセールストークをする企業もありますが、これはGoogleのガイドラインに違反しています(もちろんこれも違法ではありません)。
じっさい、まさにそのGoogleの日本法人がこの手のサービスを使ったために自らペナルティを課したことが2009年にありました(参考:ペイパーポスト問題)。

さらにひどい企業になると社長が自身のブログで取引関係を伏せて紹介するステルスマーケティングを展開しているケースもあります。

ブロガーを集めてどうするの?

ペイパーポストと並ぶ「ブロガーリレーション」の代表例として「ブロガーイベント」があります。
新製品発表会にメディアの記者席と同じようにブロガー席を用意して招待したり、企業の社長や担当者とブロガーが意見交換するパーティーを開催するのがブロガーイベントの例です。

こうして企業が消費者と直接対面して、意見交換すること自体はすごくいい話です。ただそれはブロガーである必要はありません。なぜブロガーを集めるのか。それはブログに書いてほしいからです。この時点ですでに駆け引きが始まっているわけで(だから豪勢な食事を振る舞ったり、お土産を配ったりします)、こうした消費者との駆け引きが良い結果に繋がることはないでしょう。

なぜ自社の顧客を集めないのでしょうか。お客さまアンケートやユーザー登録ですでに企業には顧客リストがあるにもかかわらず、自社製品を使っているかどうかもわからないブロガーを呼んでどうするのでしょうか。
あるカメラメーカーのブロガーイベントでは、ライバル企業のカメラを持ってきたブロガーが多数いたそうですが、そこでなんの話をするのですか?
(さすがに「どうして弊社の製品を買ってくれないんですか?」という話はしてないでしょう)

情報発信意欲が高いブロガーの性質を知ることは大事ですし、彼らがあなたの会社や製品をブログで取り上げやすくするための情報提供はどんどんやるべきですが、彼らを優遇する必要はありませんし、どこの誰かわからないブロガーを集めるよりも、すでに自社の顧客となっている方々と対話するほうが先なのではないでしょうか。

使用上の注意

すでに述べてきましたが、企業ブログに関しては「欺かない」ということです。「炎上」と呼ばれるトラブルの大半は、企業が消費者を欺いたことが原因になっています。上述のペイパーポストに手を出すこともこのひとつです。

またアンフェア、不公平な対応をしないというのも大事です。ブログを書いているというだけで優遇するのは論外です。いまの時代は「ここだけの話」は通用しません。隠し通すことはできない前提で、みんなが納得する、少なくとも大多数の消費者が納得する対応を心がけてください。

あとは細かい点ですが、ブログパーツを配布する際は(ページビューの多いブログに貼ってもらうと)急にアクセスが増えることがありますので注意が必要です。クラウドを利用するなどして、サーバーの負荷に迅速に対応できるようにしましょう。
もちろんこれはうれしい悲鳴ですが、それがブランディングもしくは売上向上に繋がっていなければただのコスト増ですので、詳細かつ綿密な設計が大事なのはいうまでもありません。

どういう使い方が理想的か

ネットマーケティングの世界ではどんどん新しいサービスが登場します。ブログそのものも数年前には新しいものとして取り上げられましたし、最近ではツイッターやUstream、Facebookなどがメディアを賑わしています。

本当に流れが速いですし、それゆえ多くのサービスは廃れていくのですが、ぼくはブログは今後も残っていくだろうと見ています。

ブログの機動力、すなわち開設も運用も担当者レベルでできてしまう手軽さは大きな武器ですし、また消費者と企業が同じプラットフォームでやり取りするという、フラットなコミュニケーション設計もじつにインターネット的だからです。

企業はこれからもブログを使って自らの言葉で、直接消費者に語りかけていくべきですし、それがソーシャルメディア時代のブランディングとしても非常に有効です。
数年前にブームに乗って立ち上げたまま放置されているブログがもしあれば、いますぐ再開しましょう。消費者はきっと待っています。

あなたのトリセツを教えてください!

ブログのマーケティング活用について、どんな使い方があると思いますか? 思いつきでも実践例でもけっこうですので、あなたのアイデアをぜひお聞かせください。

河野

当メディア編集長。コミュニケーション・デザイナー。企画屋。1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知らせメール」などを考案した。また、はてな社との協業による商品の人力検索サービス等をプロデュース。2005年から2007年までシックス・アパート株式会社のマーケティング担当執行役員を務める。2007年から2010年までブックオフオンライン株式会社取締役を務め、サービスの立ち上げ全般のサポートに加え、「オトナ買い」や「デマチメール」などの独自機能を考案した。その後、フリーランスに。2014年から株式会社クラシコムに勤務。現在に至る。「アクティブサポート」や「最愛戦略」の提唱者。個人として「攻城団」と「まんがseek」を企画運営。個人のサイトはsmashmedia

シェアする

コメントを残す