宣伝会議Internet Marketing & Creative Forum 2009 のレポートをお届けします。

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ブランドと顧客のエンドレスな絆をつくろう?デジタルでコネクトする?

●株式会社ファーストリテイリング マーケティング部
グローバル新メディアチーム兼グローバルリサーチチーム リーダー 勝部健太郎 氏
店頭を含めたグローバルコミュニケーションの設計。

●スターバックス コーヒー ジャパン株式会社
マーケティング本部 WEB・CRMチーム チームマネージャー 長見明 氏
ホームページ制作やスターバックスカードの運営。

●モデレーター
株式会社宣伝会議 谷口 氏

(1)ブランドの定義とミッションステートメント

スターバックスも、ユニクロも製造から販売までのすべてがブランドであるという意識だった。スターバックスは、販売だけでなく、豆の買い付けから焙煎など「作り手」であるという側面を持ち合わせている。ユニクロも同様に企画・生産・流通をすべを担い、日本から世界中に届けていくというミッションをもっている。

勝部:「『服を変え、常識を変え、世界を変えていく』というミッションステートメント。コミュニケーションも含め全部、自分たちでやっていく。本当に良いコミュニケーションは、どこの国でも通用するというのを経験を通じて学んだ。」

長見:「『全員がコーヒーについての専門家であれ』というのと『コーヒーを間にして人と人のつながりを作る』というミッションステートメントがある。飲んだことがないような飲み物をだしてイノベーションを起こしていく。」

(2)ブランドを世の中に発信していくときのコミュニケーション方法

勝部氏の「モノではなく、企業の理念・考え方を買ってもらう」というのはすごく的を射ていると思った。
個人のコミュニケーションのレベルに置き換えると、自分というパーソナリティを買ってもらうということに近い。企業理念があやふやだと、「モノを売る」ということに重点を置いたコミュニケーション設計にならざるおえないのかもしれない。

勝部:「マーケティングやコミュニケーションはモノを売っていくため。しかし、モノを買ってもらう以前に、企業を買ってもらう。つまり、企業を評価してもらう必要がある。そのためには、企業の理念、考え方をきちんと発信していかなきゃいけない。それがコミュニケーションすべき内容だ。広告を通じて世の中をこうしたいとか顧客に突きつけていくことが大事。
また、本当に良いコミュニケーションは、何か固定した状態であるわけじゃない。メディアであったり、そのときの時代であったり、その瞬間瞬間に判断していかなくてはいけない。例えば、ウェブはユニクロのコミュニケーションの実験場と捉えていて、全体最適は個別最適の延長上だと僕は思う。全体最適を考えるあまり、個別最適ができなくなるのは危険だと思う。」

(3)WEBで期待している顧客とのコミュニケーション方法

キーワードは「自社メディアを持つ」ことだと感じた。スターバックスは、店舗もウェブも自社メディア。それに対し、ユニクロは「UNIQLOCK」という自社メディアをつくりあげている。企業側がメディアに広告を掲載させてもらうのではなく、何らかのメディアを持っていくことがより重要になってきていると感じた。また、勝部氏が強調していたのが、テレビCM、ウェブ、広報などの部署を全部がっちゃんこしたコミュニケーション設計が大事ということ。代理店の構造では難しいから、クライアント側が変えなきゃいけない。代理店にまかせるんじゃなくて、もっときちんとクライアントが介入しなきゃいけない。お互いが大元を見つけるところから、つまり、一緒にファクトを見つけるところからやっていくというのがこれからの時代では必要とされるということもあわせて言っていた。

勝部:「いろんなコミュニケーションをするときに、大元はテレビCMになってしまうと良くないと思う。なぜならば、尺という制限があるから。起点をどこに置くかが大事。僕らはウェブを起点に置いている。ウェブには尺がないのがいいところ。ウェブから考えて、それを水平展開していって全体のコミュニケーション設計していく。また、アピールしたいところは何なのかをしっかりと見つける。
その上で、テレビなりウェブなり、そのメディアにあったコミュニケーションを見つけていく。例えば、最近出した商品のジャケット。これは263工程かけられてつくられるのに、4990円という破格の値段で販売した。僕らはそれを、この価格で、263工程もの製造工程を得ている『非常識なジャケット』ということで新聞広告をつくり、世間に対して販売した」

長見:「クチコミの発生源は、すべてお店で起こっている。『伝えたい』という気持ちをどうやって引き出すか、というところを集めていくのが我々の仕事。ロイヤル・カスタマーをどう刺激するかが大事だと思う。例えば、新商品を掲載すると何も告知していないのにウェブのアクセスがあがる。店舗が中心ではあるが、ロイヤル・カスタマーを支えるのがウェブとCRMだと思っています。
また、お店もウェブも僕らは自社メディアと捉えている。ロゴはひとつなんだし、全部僕らでで管理していくという発想がある。メッセージの設計がうまくいけば店頭でもウェブでもうまくいくと思う。スターバックスはもともとメッセージ性が固まっているから訴求しやすいという点もある」

(4)まとめ

商品を売るためというのは前提だけど、何を介してコミュニケーションするかということに尽きると思う。その間にあるものが企業理念・考え方であり、ミッションステートメントなんだろう。それがないものは単に「モノ」を訴求するだけのコミュニケーションになってしまうのだろう。その「モノ」で私たちがどうしていきたいか、どうなっていってほしいか、ということが問われているのではなかろうかと感じた。

長見:「ブランドコミュニケーションとは、企業カルチャーみたいなもんだと思う。どういうファクトを積み上げていけるかにつきる。
ウェブでいいと思うのは、レスポンスが早くて定量化されている。どこでどうやって飲んだのかがすぐにわかる。スピーディーにアクションを起こしていけるのがウェブのよさ」

勝部:「時代の転換点だ。新しい産業や企業が飛躍するチャンス。大企業みたいな時代でなくて個人や理念をもった企業が変化を起こせる。
ユニクロは単なる服屋ではない。新しい産業を作っていく企業だ。常に自分のやっていることが世界一と言えるかを、この瞬間瞬間で追求していく。突き詰める。それが結果につながると思う。」