ソーシャルメディア時代のマーケティング手法のひとつにカンバセーショナルマーケティングというのがあります。
これは企業と消費者が「会話」を通じて関係性を構築し、信頼を高め、ブランドロイヤリティを強めていくことを意図しています。
(そういう意味ではアクティブサポートカンバセーショナルマーケティングの一種とも言えますね)

カンバセーショナルマーケティングは会話さえできれば手段は問いませんので、メールでもブログでもツイッターでも、それこそリアルイベントでもいいのですが、じっさいのところ会話が続いているケースはあるのでしょうか。

ブロガーに商品を提供してレビューを書いてもらう、ツイッターでお気楽なノリのリプライをする、イベントで「みなさんのおかげです」とお礼を述べる……、そうしたことを実践している企業はたくさんありますが、これは挨拶やただのきっかけに過ぎません。大事なのはこの後に続く「会話」のはずですよね。

終わりの判断をするのはあなたじゃない

ブロガーにレビューを書いてもらったならお礼のコメントなりメールなりを送って、そこに書ききれなかったことはないかを質問しましょう。イベントに来てくださった方にもお礼のメールを送り、感想や次回に向けての改善点を伺いましょう。
そして聞くだけではなく、ちゃんと返事をしましょう。言葉で、行動で。サイトの説明がわかりにくいなら作り替えましょう。次回のイベント開催時にはご指摘いただいた点を改善して、可能ならお越しいただいてチェックしていただきましょう。そういうやり取りをすることが「会話」なのです。

あ、ペイパーポストはオススメしませんので、あしからず。

会話はどちらかがやめない限り、いつまでも続きます。そしてやめるかどうかの判断をするのはいつだって消費者側なのです。勝手に始めて勝手に終わらせる、これほど失礼なことはありません。それはメガホンを持ってやかましく騒いでいる選挙カーと変わらないのですから。

たとえば企業が出すメルマガに返信をしてくださる方がたまにいらっしゃいます。その瞬間、すでに会話は始まっています。質問には答え、提案には感謝を伝え、さらに「他にもありませんか?」と付け加えましょう。
相手が「もう大丈夫、オッケーです」と終了サインを出すまで、あなたは向き合う責任があります。それがカンバセーショナルマーケティングです。

あるいはブログについても、もしユーザーが自社ブランドについて記事を書いてくれたなら、そこから会話はスタートです。すぐにでもブログにお邪魔してコメントを残しましょう。そしてそこを会話の場として目を配るようにしましょう。さらにコメントがあるかもしれませんし、ほかの読者も会話に加わってくださるかもしれません。

企業ブログが悪いとは言いません。マスメディアでは伝えにくい細かなニュアンスや何度でも伝えたい大事なメッセージを安定的に届ける手段としてブログは最適です。ブロガーイベントも(誰を呼ぶかの人選は要検討ですが)やることそのものはとてもいいことです。
ただこれらは「俺んところに出向いてこい」というスタンスなんですね。会話したいなら自ら伺いましょう。

ちゃんと手間をかけることです。会話を続けるだけの労力をきちんとかけることです。それが誠意として伝わるのです。

ただしそれほど簡単にうまくいかないことも自覚しておくべきです。ひとことふたことコメント残したくらいでファンになってもらえるわけないのは当然ですよね。

フラット時代のコミュニケーション

企業と消費者がフラットになった、という声をよく聞きます。たしかにソーシャルメディアを中心にこれだけ多くの情報がほぼリアルタイムで共有されてしまうと、企業も消費者もほとんど同じ情報を持つことになるので、フラット化していくのは当然です。

でもそれは流れの上でそうなってしまっただけであって、この新しい時代に適応しているわけではないのです。ただ「垂直」の高低差がなくなりフラットになっただけに過ぎません。

フラットになった時代に企業はどのように消費者と関係を築くのか、それを考えて今度は「水平」の距離差を縮めていくための活動を始めていくべきなのです。
そのために会話が必要です。そしてただの双方向ではなく「持続的」双方向でなければならないのです。

相手が言い尽くすまで聞く、そして「もしまた何か気付いたことがあれば遠慮なくおっしゃってください。ひとつでもたくさんの意見を取り入れてもっと良い製品にしたいのです!」と未来の会話の約束もする。

難しい話ではありません。本気で消費者の言葉を求めているかどうかが問われているのです。
ろくに話を聞かない企業の製品と、親身に話を聞いてくれる企業の製品、さらに親身に聞くだけじゃなく積極的に意見を取り入れてくれる企業の製品があれば、あなたはどれを買いますか?

信頼され、愛される、そんな企業になるために、本当のカンバセーショナルマーケティングを始めましょう。